同じ瞬間が二度とないということ
朝からYouTubeをひらいて、
今はもう活動していないアイドルグループのライブ動画を見ていた。
歌声とファンの歓声であつくなった会場の空気を画面越しに感じて、
ああ、この瞬間ここにいたかったなあ、
なんで行かなかったんだろう、
という思いが湧き上がってきた。
コメント欄をみていたら、
「このグループが復活することはありえないという事実が本当に悔しい」と言っている人がいて、激しく頷いていたのだが、
ふと思った。
もし、復活したとしても、
「この瞬間ここにいたかったなあ」が叶うことは、絶対にないんだ。
同じ人が、同じ場所で、同じ曲をやったとしても、「この瞬間」にはならない。
今見ている動画の、画面の向こうにいる人たちだけが、「この瞬間」を知っていて、それ以外の人が知ることは永久にありえない。
ここまで考えがめぐったところで、机の上に目をやると、さっき淹れたコーヒーがある。ひと口飲む。
そして思う。今コーヒーを飲んだ瞬間は、二度とおとずれないんだ……
ふた口目を飲んでも、それはもう、さっきとは温度も空気も、窓から差してくる光の量も、自分の気分も違うから……
なんて、本当に当たり前のことで、いまさら何を言ってるんだ、って感じなのだけど、
普段このことを意識して過ごしてはいないから、こうして改めて実感すると、なんだかすごく怖くなった。
人生って一体……??
この世って一体……??
となって困っているが、こういう時間もたまには悪くないかも。
二度とない土曜日の朝より。笑