発達障害を受け入れて(14)~検査のこと
検査のこと
発達障害の検査は脳波検査、筆記試験、口頭試験、脳のCT検査とかだったと思います。検査を受けた本人ではないので、うろ覚えですみません。
CT検査では脳の病気がないか、奇形がないかを調べました。娘は脳の左へ行く太い血管が一本しかないということでした。一軒目の病院ではモヤモヤ病かも、と言われてびっくりしました。
口頭での試験には私は立ち会っていません。脳波検査は時間がかかったようです。
筆記試験ですが、こちらは本人だけでなく、家族の私も受けさせられました。
それは二軒目の精神科のときです(最初の病院では親までしませんでした。だから医師の判断によるものだと思います)。
私が受けた筆記試験はA4用紙に20枚弱だったと思いますが、娘は40枚くらいあったと言いましたから、すべて同じ内容ではありません。
でも、話し合ってみると同じ質問もありました。
娘は患者ですから、静かな部屋を与えられてひとりになってその試験を受けたようですが、私は看護師さんから手渡されて待合室の椅子に座ってやったので、テーブルもなく、とても苦労しました。
最初の数ページは娘の育ちに関しての質問でした。何グラムで生まれたとか、いつ立って、いつしゃべるようになって、みたいな基本的な事柄です。
しかし、数ページ進むと変な質問が目立ってきて、私は困惑しました。
「手のひらにケーキを思い浮かべてください。ケーキが見えますか」
「その上に苺が見えますか。」
「匂いは感じますか」
「食べてみてください。味を感じますか」
といった具合です。
そのひとつひとつに「はい」「いいえ」で答えていくのです。
「幽霊を見たことはありますか」
「それに触れましたか」
「UFOを見たことがありますか」
「UFOを呼んだことがありますか」
「超能力が使えますか」
「物に動けと命令して動かしたことがありますか」
「人が何を考えているのか話さなくてもわかりますか」
こんな感じの質問をずっと読んで考えていたら、もう頭が「?」でいっぱいになり、医師に会う前に疲れてしまいました。
そこの医師は日本でも指折りの発達障害の権威だとお聞きしてセカンドオピニオンで行ったのですが、ここでも娘はADDという発達障害だし、母の私も発達障害だと断定されてしまいました。
(一軒目の医師はいとも簡単に私を発達障害だと言って切り捨てました。
理由は、発達障害は遺伝によるもので、娘が発達障害であるからには親の私がそうであるに違いないから、ということでした。
娘の成長の記録を見たいからと言われて渡した母子手帳の記録が子細だったのも、私が発達障害である証拠だと言いました。
私は病気があったので、子供が小さいうちに自分が死ぬかもしれないと思っていて、後の面倒を見てくれる人が困らないように記録をつけておいたのです。それは記録癖というやつで、普通の母親は子育てが忙しすぎて、母子手帳に記録などろくにしないものなのに、忙しくても記録を書く行為が発達障害の表れなのだそうです)
二人目の医師は、私が発達障害である理由をきちんと説明してくれました。それはやはり母子手帳の記録癖と、遺伝もそうですが、私がやらされた筆記テストにはっきり表れていたということでしたから、そういわれてはもう認めるしかありません。
この医師は、最初に診察室に入ったときに「こんにちは。私は発達障害がある精神科医です。だから話が脱線することがあるので、わからないところは聞いてください」と言いました。
そして確かに脱線して、患者ではない私のためにまで「向く職業」を調べ始めて……。診察時間が押していることを、待合室で看護師さんたちが話しているのを聞いてしまったので、私がハラハラしてしまいました。
私がこの医師に合ったのは一度きりです。
娘が二軒目の医師を信頼できたみたいで、次からは一人で行くと言いました。
診察とは非常に個人的なものですし、特に精神科はなおさらです。私がいて言いたいことが言えないのでは治療になりませんから、ついていきませんでした。
そして、私は「記録癖」は発達障害の表れ、という言葉を気にしてしまい、その後は記録をとるのをやめてしまいましたが、後になっていろいろなことがいつ起きた出来事なのかわからなくなり、やっぱり記録をつけておけばよかったなあ、と後悔しているところです。
今、こうしてNoteを書いているのは記憶に頼っているので、間違いがあるかもしれませんことをお断りしておきます。
医師によると、記憶力も発達障害の表れだということです。記憶したくなくても様々なことを記憶してしまうのです。それは便利でもありますが、たいていは忘れてしまっていいことなので、不必要な事柄まで憶えているのは煩わしいときがあります。