社会不適合者の能力特化論 ~性格検査手法「MBTI」について~
前回の記事↓
今回はMBTIについて書きます。
MBTIとは世界的に有名な性格検査手法の一種で
MBTI(Myers Briggs Type Indicator、マイヤーズ・ブリッグスタイプ指標)の略です。
簡単に言うと性格を16タイプに分けて考えるものなので、「16タイプ性格診断」として使われることもあります。
カール・G・ユングが作成した概念理論であるタイプ論をもとにブリックス&マイヤーズ親子が1962年に作成しました。
世界的に広がっているのでビジネスでも使われることがあったり、
ネットでちょっと調べると無料の診断テストがわんさかと出てくるぐらい普及しています。
『日本MBTI協会』という公式サイトもあります。
Wikipediaの記事も読んでおくと面白いです。
普及率が高いものなので、
『社会不適合者の能力特化論』でもMBTIについて書きたくなりました。
発祥はユング
発祥は有名な心理学者であるカール・G・ユング(1875年~1961年)です。
個人的に大ファンな偉人の一人。
・・・「有名な心理学者」とは言ったけど、
ユングは「無意識」の研究や「夢分析」の第一人者なんですが、
「集合無意識」の提唱者でもあり、
発想が非科学的な癖者なので、恐らくアカデニズムの界隈だと遠ざかる人は多いでしょう・・・
一方で、西洋魔術やヒッピー、オカルトやスピリチュアルの界隈との親和性が高いので、どっちかというとそっち分野で人気者です。
ただし例外的に、日本だと河合隼雄さん(1928年~2007年)が、
日本人で初めてユング研究所にてユング派分析家の資格を取得した人として
悩める学生達を救うカウンセラーとして大活躍していたので有名になっています。
河合隼雄さんも自分が大ファンな偉人の一人であり、
書籍もいっぱい出していて、『社会不適合者の能力特化論』的にも取り上げたい人物です。
・・・河合隼雄さんの話をすると逸れていくので、
話をユングに戻すとして・・・
先ほどもちょっと書いたように、MBTIはユングの「タイプ論」が元になっています。
タイプ論は「内向・外向」の二つのタイプに加えて、
「直観・感覚・思考・感情」の四つでタイプ分析をしていくもので、
4×2で全部で8通りあるものです。
河合隼雄さんの『ユング心理学入門』にも詳しく書かれています。
タイプ論の「内向タイプと外向タイプ」については『社会不適合者の能力特化論 ~前置き~』で書きましたし、
あと、「直観・感覚・思考・感情」の4タイプは、
『~古代ギリシャより伝わる四大元素論~』で書いた「四大元素」と対応しています。(というか、MBTIについてもそっちで書きました。)
そんでもって、ブリックス&マイヤーズ親子は、「タイプ論」に関しては普及しそうだし人気が出そうだぞ、と目をつけたのか、
従来の8タイプに「規範タイプと柔軟タイプ」を加えて、
4×2×2の16タイプ論のようにして普及させたわけです。
MBTIは「科学的根拠に欠ける」と批判する人もいるみたいですが、
ユングがベースになっている時点で風変わりなので、「オカルト的に理に適ってる」ようなものだと思います。
MBTIにある4つの軸
MBTIの各タイプは「4つの軸」をベースにして扱われています。
これについては、ニコニコ大百科の記事がめちゃくちゃよくまとまっていたので、ほとんどそこから引用しちゃって説明していきます。
(現時点の記事の内容)
◆MBTIとは (エムビーティーアイとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
**E(外向)とI(内向)の軸**
EはExtravertの頭文字で、IはIntrovertの頭文字である
要は「外側に意識・エネルギーが向くか」「内側に意識・エネルギーが向くか」の意識・エネルギーをどこに向けるかの違いを表す軸である。
E型であれば外側に意識・エネルギーを向けるため、以下のような性格・特性になる。
・社交的
・自身の思考や意見は完璧に仕上がってなくてもガンガン口に出していく
・初対面の人間ともすぐに打ち解けられる
・目立ちたがり屋で、注目されるようなことを進んで行おうとする
・悩みを人に聞いてもらおうとする
・新しいもの/ことはいち早く取り入れたり興味を示したりする
・周囲の人や出来事にドンドン首を突っ込んでいく
・休みの日は外に出て遊ぶ、行楽地に出向く
I型であれば内側に意識・エネルギーを向けるため、以下のような性格・特性になる。
・控えめ
・自身の思考や意見は頭の中で完璧に仕上げてから口に出していく
・初対面の人間とはなかなか打ち解けられない
・恥ずかしがり屋で、注目されるようなことを避けようとする
・悩みは出来るだけ自分一人で解決しようとする
・新しいもの/ことはなかなか受け入れようとしない
・周囲の人や出来事からは距離を置いて静観する
・休みの日は家にこもって休養する
大正義である外向タイプと内向タイプの違い。
陽キャと陰キャの語源、さらには宇宙の根源を司る陰陽すらそれに通じていそう。
恋愛においては外向タイプが大体有利に機能する。失敗も多いけどそれが正攻法と言える。
ビジネスにも強いので大体はこっちの人が世の中を動かしてる。
そもそも印象操作の影響を受けやすいのが外向タイプの特徴であり、それで世の中が動くことが大半になる。
なんとかなんねぇかなこの世の中。宇宙の真理がそこにあり、大変難しい問題である。
**S(感覚)とN(直観)の軸**
SはSensingの頭文字で、NはiNtuitionの2つ目の文字である。
要は「五感を通して現実的に物事をとらえるか」「脳内で想像して抽象的に物事をとらえるか」の物事の捉え方の違いを表す軸である。
S型であれば五感を通して現実的・具体的に物事をとらえるため、以下のような性格・特性になる。
・ミクロ視点
・友達にするなら突飛なことを言わない人が良いと考える
・ボトムアップ思考
・物事を解決するときは使い古された一般的な方法で解決しようとする
・独特の言い回しや聞きなれない理論は苦手/嫌い
・実際に今現在起きていることに集中する
・1つのもの/ことに集中してそれ以外は疎か
・革命を起こす場合は「一揆」「抵抗」レベルの小規模なものになることが多い
N型であれば脳内で想像して抽象的・大局的に物事をとらえるため、以下のような性格・特性になる。
・マクロ視点
・友達にするなら細かいことを気にしない人が良いと考える
・トップダウン思考
・物事を解決するときは独自で考えた型破りな方法で解決しようとする
・独特の言い回しや聞きなれない理論は気にならない、むしろ自分から独特の言い回しを好んだり聞きなれない理論を提唱する
・未来の可能性や全体像を考察することに集中する
・全部のもの/ことを満遍なくこなすが、1つ1つで見ると粗い
・革命を起こす場合は「反逆」「世直し」レベルの大規模なものになることが多い
感覚タイプと直観タイプ。四大元素だと「地」と「火」に対応。
感覚タイプ(地)の方が地に足がついて現実的。思想的に堅実。
直観タイプ(火)は理想的でフワフワしてる。火のように危なっかしくもある。
感覚タイプは「経験タイプ」と言い換えても良く、
ニコニコ大百科の説明によると「世界人口割合でも75%と過半数を超えている」とのこと。
**F(感情)とT(思考)の軸**
FはFeelingの頭文字で、TはThinkingの頭文字である
要は「集団倫理や快不快で意志決定するか」「公的論理や独自理屈で意思決定をするか」の何で意志決定をするかの違いを表す軸である。
F型であれば集団倫理や個人の快不快で意思決定をするため、以下のような性格・特性になる。
・倫理的
・感情的で暑苦しいことは悪いことじゃない
・モノよりヒト
・相談事を持ち掛けられたとき、慰めや感情面でのフォローを優先する
・オブラートに包んだ言い方をよくする
・温情や同情を積極的に示そうとする
・日々の頑張りをほめられることを望んでいる
・人間関係の調和保持
・自己の精神の安定のためなら勝利をつかむための論戦や喧嘩を投げ出しても構わない
T型であれば公的論理や独自理屈で意志決定をするため、以下のような性格・特性になる。
・論理的
・冷めてて理屈っぽいのは悪いことじゃない
・ヒトよりモノ
・相談事を持ち掛けられたとき、解決法の提示や物事が起きた原因の解明を優先する
・歯に衣着せぬ物言いをよくする
・温情や同情は不要なものと考えて示そうとしない
・最良の結果が出たことをほめられることを望んでいる
・勝利をつかめるのなら激しい論戦や喧嘩もいとわない
感情タイプと思考タイプ。四大元素だと「水」と「風」に対応。
河合隼雄さんによるタイプ論の説明だと、何かを判断する時にどちらを重視するかという話になる。
感情を重視するなら感情タイプだし、思考を重視するなら思考タイプである。
思考タイプの方が合理的そうだが、感情タイプの方がなんだかんだで精神的に強い。
ニコニコ大百科の説明によると「一般的にはF型には女性が多く、T型には男性が多い」とのこと。
**J(規範)とP(柔軟)の軸**
JはJudgementの頭文字で、PはPerceptionの頭文字である
要は「外界に対して判断的な態度をとるか」「外界に対して知覚的な態度をとるか」の外界に対する態度・接し方の違いを表す軸である。
J型であれば外界に対して判断的な態度をとるため、以下のような性格・特性になる。
・計画的
・事前準備をしないと落ち着かない
・明確な基準/ルールに沿って動きたい
・締め切り日がある課題は配られたその日に終わらせたい
・文章の清書を定期的に行うため、文章が綺麗で見やすい
・アドリブ不得意
・周囲にもしっかりするよう強要する
・新しい情報が手に入るたびに頭がパンクしそうになる
P型であれば外界に対して知覚的な態度をとるため、以下のような性格・特性になる。
・臨機応変
・準備は当日の朝あたりに後回ししがち
・基準/ルールは無い方が行動しやすい
・締め切り日がある課題は締め切り日当日までやらない
・「文章の清書?なんだそれ」なので、文章がゴチャゴチャしてて見づらい
・アドリブ得意
・周囲にしっかりするよう強要されるとやる気がなくなる
・新しい情報が手に入るたびに計画を変更する
ブリックス先生達が追加したタイプ。
真面目なタイプといい加減なタイプということかな?
P(柔軟)の方が反社会的っぽいけど、外向タイプでいい加減なタイプの人もいそう。なるほど。
先生らしい人と若者らしい人とも言えそう。
混ざってるのが基本という原則
さて、各タイプについて説明しましたが、
内向タイプと外向タイプは複雑に混ざっていたり、複雑に入り組んでいることがあると、『社会不適合者の能力特化論 ~前置き~』で書きました。
それと同様に、どのタイプも基本は「混ざってる」ことが多いと捉えるべきです。
犬は犬として生きるし、猫は猫として生きるように、
ベースに持っているのはどれかなのかもしれません。
ただ、生きていて「そっちの意識を取り込む」みたいなことが出てくることはあるし、
「違う意識を取り込みながらこっちで生きる」みたいな思想をベースに持ってることもあるでしょう。
それから、『~前置き~』の所で説明した発達障害のように、こうしたものは大体「スペクトラム」になっていて、境界がグラデーションみたいになっているものです。
そのため、16のタイプがハッキリあるというより、
「IとE」「SとN」「FとT」「JとP」の4つの軸がある中で、
16の傾向がスペクトラム的に存在していると理解する方が正しいです。
こうしたタイプを雑に解釈すると「レッテル張り」みたいになり兼ねないし、人の心は移り変わるものなので、別の意識を持っているかもしれない、というのを前提に置くべきです。
筆者(Raimu)のタイプについて
ちなみに自分は、自覚的に判断すると「INTJ」だと思いました。
「内向・直観・思考・規範」の組み合わせであり、いかにもインスピレーション重視の理論家向きなので、本職がプログラマーということもありこれが妥当だと考えました。
しかしながら、とあるネット診断をしてみたら「INFP」の結果が出ました。
「内に熱い情熱を秘めている」「独自の世界観がある」「引っ込み思案」と言われる「心理学者タイプ」という結果です。
これはこれで合ってるような気もしてきました。
そもそも自分は、「J(規範)とP(柔軟)」については際どいと思っていて、さほどしっかりした規範重視ではなく、柔軟要素は確実に持ってると自負していました。
計画をふんわりと描いてから行動することが多いけど、
計画をカッチリと書いて行動してるかどうかだと怪しいです。
ちなみに、字はとても汚い。
まぁなんだかんだで社会的にはまともに生きてるし時間はぼちぼち守るので「規範」ってことにしましたけど、
確実にそれだけではないわけです。
あと、実はこの組み合わせは西洋占星術の鑑定結果からも読み取ることができます。
自分は西洋占星術的には「N(直観)」が多いのは確実だけど、「T(思考)」よりも「F(感情)」の方が優位のように鑑定結果が出ています。
そういうこともあり、感情タイプの意識も持ってるしそれが分かる節もあります。
そんな感じで、MBTIの各要素は複雑に混ざってるものなので、
それを前提においていきましょう。
「社会不適合者の能力特化論」的にはどうなのか?
『社会不適合者の能力特化論』的にMBTIはどう扱えば良いでしょうか?
ここでも「E(外向)とI(内向)」が出てきたので、
「I(内向)」で生きていきやすい道を探りたいよね!
という話になってきます。
あと、「S(感覚)とN(直観)」も重要で、
「E・S(外向・感覚)」「I・N(内向・直観)」はそれぞれ機能的に近くて親和性があります。
しかも、「S(感覚)」は多数派で「N(直観)」は少数派です。
「ES」まで持っていたら社会に適した現実主義マンだし、
逆に「IN」まで持っていたら、思想が抽象的な社会不適合者みたいになります。
ビジネスや恋愛などにおいて、大体の成功法則は「E(外向)」が前提であることがほとんどなので、
「E(外向)」になれない「I(内向)」にとっては話にならないものです。
「話にならねぇ。」ということでウザかったら大人しく距離をとった方が良いでしょう。
人には直せる性格と直せない性格があるので、
それを理解して生き方を決めていくべきです。
そんでもって、「I(内向)」に合った生き方を別途、探っていきたいです。
まぁあとは・・・・・
MBTIについてはこれといって言うことはなくて・・・
そもそも「分析」って行為は適した理解ができれば良いように作用するものですが、逆に、間違えて決めつけてしまったら理解から遠ざかってしまうので、諸刃の剣みたいなものです。
例えば、自分は「INTJ」ってことにしたとしても、
実際が「INTPかもしれない」とか「INFPかもしれない」ってことになったら、「別の側面を持った自分」への理解が遠ざかってしまうことになります。
これがとても危険なので、性格検査からは離れた方が良いこともあります。
そもそも「分析」って行為自体が「T(思考)」的と言えるかもしれません。
もっと「F(感情)」の部分とか、複雑に絡みあっているものを直観的に感じ取らないと、本質的に理解することは難しいです。
以上のようなことは『日本MBTI協会』も気をつけてるらしく、
分類する事自体はMBTIの目的ではなく、それをツールとして当人の個性の理解を深めることを目的としているらしいです。
MBTIはそれに回答することで人間の性格を16タイプに分類しますが、分類する事自体がMBTIの目的ではなく、検査の回答結果をきっかけに用いながら、有資格者(MBTI認定ユーザー)の支援のもと、MBTIに回答した本人が自分の理解を深めていくことを最優先とした性格心理検査ツール/メソッドです。
日本MBTI協会の理念は頼もしいですが、
こういうものは占いと一緒で、優れた占い師がいないと優れた鑑定を受けることができないように、
MBTIが活かせるかどうかは、実際に優れた人物がいて、それと出会えるか次第になります。
そういう人を探すのも良いですが、難しそうでもあります。
MBTIは話のネタとして面白いし、使えそうなら使いたいと思いつつも、
己の本性を理解していくには、徹底的に自問自答していくのが一番だと思います。