〈これまで〉は《これから》のために 石野理子(赤い公園)が唱う希望の歌 (1)
全曲を歌い切って、
彼女は拳を突き上げた。
満面に笑みがこぼれる。
充足感…
〈この瞬間のために、私は生きている…〉
VIVA LA ROCK 19'
at さいたまスーパーアリーナ
2019年5月4日 午前11時
赤い公園のステージは
キャパ500人余りの
通称CAVE STAGEながらも、
入場規制がかかる。
3曲を演奏したところで、
リーダー津野米咲は
赤い公園のEPICレコード入りを発表。
場内から割れんばかりの拍手が起こる。
石野理子
二代目ボーカルとして
赤い公園に加入したのが
1年前の同じ日、同じステージ。
この模様は生配信された。
《石野理子》という固有名詞は、
〈ノーベル文学賞〉などを抑えて
Twitterトレンドワードに。
この2018年5月4日から、
話はさらにさかのぼる。
同じ年の正月…
《忍耐》
およそ年の初めにふさわしくない言葉を
書き初めにしたためたのは、
誰あろう、
石野理子本人。
「リコイズム」
石野が地元広島でパーソナリティを務める
ラジオ番組。
この番組の年初に、
石野が披露した書き初めが
〈忍耐〉
街のお屠蘇気分とは
まるで別世界のような
重苦しいこの二文字。
もともと、
石野理子の座右の銘が
「悪戦苦闘」
あるいは、
「生きること=辛い」
生来的なのか、
思春期のなせる業か、
重苦しい内面を持っていた石野だが。
17歳の正月と言えば、
大学受験など
次なる進路へ、
さらにその先へ。
誰しもが
胸を膨らませる
〈はず〉の
この時期…
胸中に
普段以上の重しを抱える
石野の日々。
石野に一体何が?(続く)