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小泉萌香から考える日本語

こんにちは。かみなりひめです。

寒さが本格的に牙を剝いてきましたね。
寒くて寒すぎて震えている毎日です。

さて、先日このような企画があることを
偶然にも知ることができました。

開催自体はすでに終了しておりますが、
今後もさらに何らかの展開が ありそうな予感です。

さて、ここで気になったのは以下の部分。

蛙をこよなく愛する声優・小泉萌香さんの愛蛙「そらまめ」写真パネル展示!

画面の向こうの皆さんにも問いましょう。

「愛蛙」って、何て読むの???

1. それぞれの漢字音の確認

愛蛙」がおよそ二字熟語であろうことから、
まずはそれぞれの漢字の読み方を確認です。

まず「」字は、
音読み:アイ
訓読み:めでる、おしむ、かなしい、いとしい、
    うい、まな
などが挙げられます。

ここでの「かなしい」は悲哀の意ではなく、
古文単語でおなじみの「かわいい」という
愛情を示す言葉です。

また、「おしむ」の意味は
「愛惜」「割愛」などの熟語に表れています。

一方、「蛙」字は、
音読み:ア、ワ
訓読み:かえる、みだら
という読みがそれぞれあるようです。

例えば、「井の中の蛙」を示す語「井蛙」は
せいあ」と読みます。

これらを参考にすると、
どうも「あいあ」と読むことになりそうです。
某降幡さんか某お猿さんを思い出す読み方。。。

2. パウルの比例式

ここまでの議論では、
愛蛙」は「あいあ」と読めそうであると
考えるに至りました。

さて、言語学者のヘルマン・パウルは、
「類推」による言語変化を説明する際に、
パウルの比例式」なるものを挙げています。

たとえば、

青:青い(色の名詞:色を表す形容詞)

という関係があるとき、

青:青い=ピンク:X

この比例式のに当てはまるのは何でしょう?

色の名前の後に「い」を付けると形容詞になる
という関係があることがわかるので、
この問いの答えはX=「ピンクい」になります。

これと同じ理屈で考えてみましょう。

「愛■」(■:動物を表す漢字一字)で探すと、「愛犬」「愛猫」などがあります。

そしてこれらは「あいけん」「あいびょう」と
音読みで訓まれるのが慣わしのようです。

これを比例式にしてみると、

犬:愛犬(あいけん)=蛙:Y
猫:愛猫(あいびょう)=蛙:Z

となり、上の二つの比例式から考えるに、
YにもZにも「愛蛙」(あいあ)が入りそうです。

さて、もーちょい掘り下げてみましょう。
ここで「愛蛙」を訓読みして「まながえる
などと訓む可能性はあるでしょうか?

たとえば「愛娘(まなむすめ)」だったり
愛弟子(まなでし)」だったりと、
まな+名詞」の例は存在しています。

これらの例から考えるに、
「まながえる」などと訓むことは可能であるように 見えてしまいます。

しかし、「愛娘」「愛弟子」の例からは、
愛■」を「まな■」と訓むときには、
■の要素は「人間」を表す語が入るだろう
と推測することができます。

その証拠に、
愛犬」(あいけん)を「まないぬ」、
愛猫」(あいびょう)を「まなねこ
と訓む人は見かけませんよね。

以上より、
愛蛙」を訓む際には、「あいあ」という訓みが
最も妥当であると考えられます。

3. おわりに

ときに新語や造語のたぐいは、
日本語の乱れ」として忌避されたり
斥けられたりすることがあります。

しかし、そのような語のなかにも
ある一定の規則やこれまでの慣習を
踏まえたものがあるのは事実です。

規範的な日本語からのズレを疎むより、
そこにある法則性を見つけるほうが、
よほど健全だなあと感じるワタクシでした。

(この小泉萌香さん、可愛いですね……。) 

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