リンクするアニガサキと現実との間で、運営はファンにエールを叫ぶ。――アニガサキ2期12話「エール!」
こんにちは。かみなりひめです。
前回記事の最後にて予告しましたとおり、
引き続きアニガサキ2期12話について語ります。
アニメ
ラブライブ!
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
2期第12話「エール!」
前回記事においては、
「侑ちゃんと歩夢の相談相手は、なぜ
近江彼方でなければならなかったのか?」
をテーマにして筆を執りました。
詳しいことは上の記事に譲りますが、
妹である近江遥ちゃんとの過去を踏まえれば、
彼方ちゃんが適任であることは言わずもがな。
ですが、この2期12話の感動ポイントは
ここだけに留まりませんよね。
遥ちゃん率いる東雲学院をはじめとし、
藤黄学園やY.G.国際学園、紫苑女学園へ向けての
ニジガクからの応援メッセージ。
これに涙を誘われた人も
多かったのではないでしょうか。
しかし、この一大エモポイントには、
ラブライブ!運営からのとあるメッセージが
隠されていたのでした……。
1. 中継シーンからのメッセージ
そもそも、今回の応援メッセージは、
遥ちゃんを応援したい彼方さんと、
出場校たちを応援したい同好会との
意見の一致がきっかけでした。
無観客開催という特異なステージで、
出場するみんなを励ましてあげたい――。
そんな気持ちが根底にあったのです。
その結果、出場するアイドルたちに向けて
同好会や各校の生徒たちが応援する姿を
中継するというスタイルに落ち着きました。
「ライブビューイング」という形態が、
演者の様子をファンに即時的に届けるという
ものであるならば、今回の2期12話のこれは
まさに「逆ライブビューイング」です。
さて、その試みが無事に成功し、
本番前のスクールアイドルたちの涙腺を
見事に破壊したあとのセリフに注目です。
そう。応援したいという気持ちがあれば、
学校や応援相手が違っても関係ないのです。
そして、距離すらも関係ないのです。
事実、「逆ライブビューイング」を観た
遥ちゃんはこのように言っています。
「離れていても、ココロはひとつ」
中継というかたちであったとしても、
ファンの想いは、スクールアイドルたちに
しっかり届くのでした。
2. 重なり合う虚構と現実の狭間で
ここまで、ニジガク主体で行われた
「逆ライブビューイング」に込められた
メッセージとして、「離れていてもココロは
通じ合っている」というものがあることを
述べてまいりました。
さて、ここでひとつ注目すべきは、
この「逆ライブビューイング」構想は、
璃奈がニジガクの1stライブでの使用を
想定したものでした。
そして、その1stライブというものは、
会場こそ違えども、実際に3次元空間で
行われたニジガク1stと重ね合わされる
ように造型されています。
たとえば、ライブのロゴ・タイトルなど
ほぼほぼ同じように作られています。
このように、
アニガサキ時空(=2次元)と我々の生きる
実世界をつなぎ合わせる試みというものが
実は以前の話でも見られました。
3rdライブでの矢野妃菜喜さんの演奏をなぞって
侑ちゃんがピアノを披露したのが2期8話でした。
これらの例から見えるように、
アニガサキ運営は意図的に2次元空間と
3次元空間とを結節させようとしています。
ということは、もちろん
アニガサキ時空で起こったことだって、
現実の世界に適応させてもよいはずです。
その試みこそが、
次なる5thライブであるということは
すでにお気づきの方も多いでしょう。
OP曲名を冠したステージが披露されるのは、
アニガサキ時空で1stライブが行われる予定の
東京ガーデンシアターです。
そして、実際の1stライブが開催された場所の
武蔵野の森総合スポーツプラザも名を連ね、
こちらにも期待が集まるところです。
話を戻すと、
璃奈が「逆ライブビューイング」の使用を
検討していたのは、1stライブでした。
そして、それは実際の世界においては、
5thライブと重ね合わされるだろうもので
あることは言わずもがなです。
さらに、「逆ライブビューイング」で
伝えたかったメッセージとは、
「離れていてもココロはひとつ!」。
つまり、こう言うことができるでしょう。
運営は、5thライブ開催にあたっても
「離れていてもココロはひとつ!」という
メッセージをファンに向けているのです。
3. 見合わぬキャパと現地への欲求
ここまで、アニガサキ時空と現実空間との
重ね合わせを確認しながら、5thライブでも
運営は「離れていてもココロはひとつ!」
というメッセージを伝えようとしているのだ、
とお伝えしました。
では、なぜこのようなメッセージを
伝えようとしているのでしょうか?
ここまでのニジガクのライブの軌跡を
いま一度振り返ってみましょう。
1stライブは武蔵野の森。
2ndライブは東京ガーデンシアター。
3rdライブはメットライフドーム。
4thライブは京セラドーム。
各会場のキャパシティは、
武蔵野の森:約10000人
東京ガーデンシアター:約8000人
メットライフドーム:約33000人
京セラドーム:最大で約55000人
となっています。
つまり、最近のニジガクは、
約3~5万人程度の集客が望める集団に
なっているのです。
そんなニジガクが次に選んだ会場は、
キャパ約10000人の武蔵野の森と、
約8000人の東京ガーデンシアターでした。
会場が発表されたときから、
すでにファンたちは阿鼻叫喚。
「チケットの倍率が上がるぞ……」
「席確保できるかな……」
そんな声が少なからず聞こえていました。
でも、ライブを数多く組んできた運営です。
およそ、そんなことは分かり切っているはず。
集客力に見合わない会場のキャパであることは。
そこで、このように考えたのです。
「アニメの中で、”実際に会場には行けないけど、
思いは繋がってるよ” みたいな描写があれば、
ファンは納得するんじゃないか?」
露骨なまでに、2次元と3次元とを重ねようと
している背景には、そのような運営の意図が
見えてしまうような気がしています。
「アニメと重ね合わせるためだから、
キャパが少なくても仕方ない話だよね。
でも、離れていてもココロはひとつ!
それすらも、アニガサキとのシンクロだ!」
4. おわりに
5th特設サイトには、ちゃっかりと
以下の一文が書かれています。
今となっては当然になりつつある
有料生配信の存在。
これすらも、アニガサキとのリンクとして
楽しめてしまうという大掛かりな仕組み
そのものには本当に感服します。
しかし、あえてモノ申したい。
「アニガサキと重ねられたら、
なおのこと現地でその空気感を味わいたい!」
と、私はそう思ってしまいます。
運営さん、初日のチケットください……!!