【連鎖倒産】から身を守る
コロナ融資の返済開始により、
倒産件数がじわじわ増えています。
得意先からの入金を支払のアテにしている会社も多いと思います。
そんな、得意先が急に倒産したら。
既に提供した商品・サービスの対価が回収できなかったら。
急に自身の会社も資金繰りに大きな影響を受けてしまいます。
今回の記事では、連鎖倒産の防衛策について案内していきます。
こちらを読んでいただき、
自己防衛能力を高めるとともに、
営業担当者とともに得意先との取引条件も詳細に把握しなおしましょう!
それでは、始めます!
連鎖倒産とは
ある会社(A社)が倒産してしまいました。
A社に対して、商品・サービスを提供し、
3,000万円の売上債権を有していたB社は、
3,000万円が実際に資金化できる可能性がかなり低くなった状態と言えます。
B社は、
年商1.2億円。
現在の手元現預金は1,000万円。
毎月の支払額は800万円ほどですが、
今回の3,000万円の受注に対して、
1,500万円で一部業務を外注していました。
今回のA社との3,000万円の取引はB社にとって飛躍のチャンスでした。。
数か月後、
B社はA社から売上金を回収できず、
外注先や金融機関への支払が滞り、倒産してしまいました。。
A社を発端として発生したB社の倒産。。
これを連鎖倒産と呼んでいます。
B社はどんな対策を講じるべきだったのでしょうか??
取引を開始する際や、新たな受注を受ける際に、A社の資金繰り状況を少しでも把握するように努める。(A社に支払が遅れている噂がないか。など)
有事の際に、融資を受けられるようにしておく。
B社の手元資金の範囲内の受注に留める。
これらの対策が挙げられると考えます。
具体的に見ていきましょう!
予防策①経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)
会社を始めて1回目の決算が終わり、順調に利益を出していると、
税理士から、節税対策として紹介されることが多いかと思います。
開業当初の利益に対してはとても効果の大きい節税策ですが、
実は、取引先の倒産の際に、本来の役割が発揮されます。
(平時)
月額5,000円~200,000円の支払(1法人最大800万円まで)。
支払った金額は全額、損金計上(法人税が減ります)。
40ヶ月以上継続して支払うと、解約時支払った全額が返金されます。
(有事)
・取引先が倒産し、売上債権が回収できない!
→回収不能額か、掛金支払額×10倍(最大8,000万円まで)の
いずれか少ない方の金額を上限として、
無担保・無保証人・無利子で融資を受けることができます。
・返済期間は5年~7年となります。
A社からの売掛債権が回収できなくなったB社も
倒産防止共済を活用できれば、
即座に最大3,000万円の借入を実施し、
外注先への1,500万円の支払を済ませ、
連鎖倒産を免れることができたでしょう。
倒産防止共済も、
得意先が倒産した場合には活用できますが、
いわゆる夜逃げをしてしまった場合には活用できません。
日頃から、得意先とコミュニケーションを取っておくことは、
こういった有事の際の備えとしても、とても大切です。
倒産防止共済を活用した節税については、こちらもご覧ください!
予防策②セーフティネット保証
コロナ禍で一躍有名となったセーフティネット保証4号ですが、
4号だけでなく、なんと1号から8号まであります。
コロナなどの突発的災害を起因として発動されるのが、セーフティネット4号保証です。
1号保証には「連鎖倒産防止」と記載があります。
2023年6月5日現在、全国で3者がセーフティネット1号保証の指定事業者となっております。
(2022年の倒産件数は6,000件を超えていますので、自身の取引先の倒産がセーフティネット1号に該当するのは稀かもしれません。)
(活用条件)
倒産したA社がセーフティネット1号保証の指定事業者となる。
指定事業者(A社)に対して50万円以上の売上債権を有している。
(B社の取るべき動き)
B社本店の存する市区町村にてセーフティネット1号保証の認定保証書を発行してもらう。
取引金融機関に認定保証書を持参し、保証協会付きの融資を相談する。
既に保証協会付きの融資を受けているB社も、通常の融資とは別枠で2億8,000万円まで融資の相談をすることができます。
A社からの売掛債権が回収できなくなったB社も
セーフティネット保証を知っていれば、
保証協会から別枠の融資を受け、
外注先への1,500万円の支払を済ませ、
連鎖倒産を免れることができたでしょう。
予防策③保証ファクタリング
初めて聞く方も多いかと思います。
上記2つとまず違うのは、こちらは民間のサービスになります。
保証ファクタリングを提供している会社に申込みをし、
売上債権に保険を掛けるイメージです。
B社を例にすると、
「今回のA社からの受注は大きなチャンス。但し、万が一3,000万円が回収できないと、外注先に1,500万円が払えないリスクがある。」
「A社への売上債権について、保証ファクタリングに申込みを相談しよう」
「保証料1%で30万円。倒産のリスクには変えられない。申込みしよう。」
A社からの売上債権が回収できなくなったB社も
保証ファクタリングを活用していたため、
A社への売上債権額が保証ファクタリング会社よりB社に振り込まれ、
外注先への1,500万円の支払をすることができ、
連鎖倒産を免れることができたでしょう。
予防策④日頃の資金繰りの把握と1回あたりの取引額を制限する。
現状のB社にとっては、
3,000万円の受注。1,500万円の外注はリスクが大きかったと言えます。
3,000万円の回収不能リスクを想定して、
上記①や③のような対策を講じることも手段ですし、
今回は、1,000万円の受注。500万円の外注に留めておくことも戦略だったかもしれません。
あるいは、外注先と共同で1,500万円ずつにて受注できる可能性も探れたかもしれません。
結論
利益が出ている会社にとって、倒産防止共済は一石二鳥!
得意先の動向は常に注視する。
得意先とは、日頃からよく、コミュニケーションを取っておく。
それでも倒産リスクは把握しきれない。
必要に応じて、保証ファクタリングの活用を。