月刊佐藤良唯 3
編集者の如く弟から催促のくる月刊佐藤良唯
舞台が終わったものの腕の状態からいって働けるわけではないので、5月下旬は家にいる事が多かった。
こんなに家にいるのはコロナ禍以来じゃないかなというくらい家にいた。
(ずっとってわけじゃないが)
家にいると悶々とした日々を過ごすことなる。自分を紛らわせる事が少ないから。
僕の趣味は衣食住の延長線上にあるものだから。
本当に最近の私の日々には何もない。
何もないわけじゃないけど、緩やかに時間が過ぎていっていることを体感して生きているという状態だ。
トピックを考える。
人生に起伏が少ないことは幸せなことだろうか、不幸せなことなんだろうか。
暇な時間が多いとそんなことを考える。
小さな幸せは沢山あるし、
それこそ家にいる時間が多かったコロナ禍に比べていまの自分の人生はとても素晴らしいなと感じることが増えた。
風呂とトイレが別。
お風呂に追い焚きがついてる。
トイレにウォシュレットが付いてる。
トイレにウォシュレットが付いてる。
ウォーターサーバーが家にある。
キッチンが広く、コンロが二口ある。
ソファーがある、玄関に靴箱がある。
もはや成功者だ。
東京において、風呂とトイレが別の家に住んでいる時点で成功者だが、
さらに追い焚き、ウォシュレット。
そしてウォーターサーバーである。
これを成功者といわずしてなんと呼ぶのだろうか。海賊王ゴールドロジャーもこれを手に入れることができてないのではないかと思う。
そして家に月がある。
寝室のライトが月なんだ。
月のライトなのだ。
何か辛いことがあっても、
でも俺家に月あるもんな。
最強のメンタルだ。
何を持って成功かは分からないけど、
風呂トイレ別ウォシュレット追い焚きウォーターサーバー、家に月。
バイトで貯めた15万円を握りしめて裸一貫上京した18歳の若かりし頃の佐藤がいまの佐藤を見たらお前矢沢とは違う成り上がり方をしたなぁと思うだろうと思う。
矢沢永吉さんの成り上がりは人生のバイブルの一つである。
しかし、今の私はこんな感じだ。
矢沢とは遠い所で、また異なるようなアプローチで生きている。
自分には上昇志向があまりないのだろうか、
と考えてしまう。
生活の質に関してはこれ以上の上がこれからの人生であるのだろうかと考えてしまう。
同時に人生の不幸せと幸せは、多分プラマイ0で終えることになると思う。
ということはこれから私の人生にはとんでもない絶望が待っているのかと考えることもある。
さてどうしたものか。
こんな事ばかりを考える佐藤であった。
生活の質が上がったが、
私はいま人生で上位に入るくらい、
お金がない。