母でもあるけど、母ではない。
どこへ行っても「お母さん」と呼ばれ、TVでもネットでも親戚からも「子育ては、母親こうあるべき」という話を聞かされる。
息子が生まれ、「母親」という役割が増えた。
それは事実だし息子はかわいいのだけど、本を読むのがなにより幸せで仕事もそれなりに楽しんでいて、学ぶのが大好きな「わたし」は今までどおりここにいて。
それなのに、周りから見たわたしは「お母さん」でしかない。
育休中、そんなすこしぽっかりとした気持ちを感じていた。
**
「ママモードにお休みを」をいう特集企画をしよう。そう決まったのは、今から1年半前。わたしが職場復帰をして2年がたとうとしていた時だった。
編集部員がそれぞれに企画を持ち寄り、取材をしたり記事をつくった。この夏に書籍化した『本当の頑張らない育児』という連載も、この特集から生まれたものだ。
そして同じようにその特集からうまれたもうひとつの連載が、今日からはじまった。(やっと!)
パソコンの中を探してみたら企画書がでてきた。これは最初の企画から、ライターのいそめしさんと1回打ち合わせしてその内容を反映したセカンドバージョンくらいのやつだなぁ。
いそめしさんは、IT系のお仕事をするワーママ。わたしが漫画の編集担当になってから声をかけて書きはじめてもらったライターさんのひとりなのだけど、着想がおもしろくて、子育ての体験談も理系な切り口で解説してくれたり、子育てに新たな視点や発見をつくってくれるライターさんで。妄想力と実行力があってブロガーさんたちと楽しい企画をやっていたりもする。
そんないそめしさんと普段書いてもらっている子育ての体験談ではなく、いわゆる「漫画」を一緒につくってみたいな、と思ってこの連載企画ははじまりました。
お互いワーママであるわたしたちの打ち合わせは、もっぱらいそめしさんの働く会社の近くでのお昼休み。ふたりでご飯をもぐもぐしながら印刷したラフをみて、いそめしさんはノートにイラストを書きながら。
「みんないつ ”母” になるんだろう」
「仕事の世界から、育児の世界へのギャップを感じるのはなんでだろう」
いろんな話をしながら、「やっぱりこうなんじゃないですかね」「パパから見るとこうなんじゃないかと思って」いそめしさんは何度も何度もラフを書き直して。
そして、いそめしさんのはじめてのフィクション連載の原稿が完成したのは、この制作期間中に妊娠されたいそめしさんの第二子出産の前日だったのです。(ほんとうにおつかれさまでした!)
**
この物語の主人公は、ワーママである祥子の心の中に住む、ハハ・ツマ・シゴト・シュミという4人のコビットたち。
そんなコビットたちから見たら「産後」はどんな風に見えるのだろう?
産後という時期は、お父さんもお母さんも赤ちゃんもみんな「はじめて」がとても多くなる時期だと思う。
今まで表立って語られて来なかった「産後」が語られるようになり、産後うつや、産後クライシスという言葉が広く知られるようになってきて、たくさんのリアルな体験談を知ることもできるし、産後のサービスも受けることができる。
でもその反動のように、産後や子育てってなんとなく大変そう(実際大変なこともたくさんある)なイメージになったり、シリアスなテーマになりがちで。
だからこそ、カラッとしてふふっと笑える産後の物語を紡ぎ出せたらいい。
すこし別の視点から「産後」を見つめる機会になったらいいなぁと願いながら、今日から毎週水曜日朝7時更新です!
▶続きはこちらからどうぞ。