停電体験。
日常が突如としてぶつ切りになる感覚。
本当に突然、その時はやってくる。
灯りが勢いを無くしスッと消えていく。
物理的に目の前が真っ暗になる。
見えないことは人に不安を与える。
日常がいかに灯りに支えられていたか、その大切さに気付く。
家族からの安否確認の連絡。
隣にいてくれた彼女が咄嗟にラジオをつけ、懐中電灯を手に取る。
外に出てみると同じく停電に困惑した住人たち。
みんなどうする事も出来ない。
ただ、待つしかない。
こうして緊急時に思うのは全てをデジタルにするべきではないかも、という感覚。
根本のライフラインはアナログも重要。
電気が使えなくても水は出た。
これがありがたい。
全てが繋がっていて全てが終わってしまったらと思うと...。
その日は最低限の身支度をし、眠りについた。
翌朝。
停電が復旧した。
厳密には夜中の間に復旧作業が完了していた。
落としていたブレーカーを付ける。
灯りがつく、冷蔵庫が動き出す。
スイッチを入れた瞬間、切り取られた日常がそのままの姿で返ってきた。
自分は誰かの仕事で生かされている。
誰かが直してくれたから日常に帰ることができた。
日常とは当たり前ではない。
そんな事を再認識した昨夜の地震。