#001 ビニール傘
昨日、雨が降った。
みるみるうちに地面を黒く染めていく、そんな大雨だった。
コンビニに入る前には降っていなかったのにな、と思いながら
なんともいえない値段のビニール傘をコンビニに入り直し買った。
そして外に出て傘を開いて駅に向かっていると、
仕事帰りだろうか、女性がハイヒールの踵をコツコツと言わせ
ミニボストンで頭を守りながら駅とは反対の方向に駆け足で行った。
突然の雨だったもんな、天気予報も晴れだったし、と思いながら
傘を持っている事実に優越感を抱いた。
その優越感と共に、一本のビニール傘を買った、だから
経済の成長を手助けした、という
なんとも単線的な考えをし、ちっぽけな優越感にも浸ってみた。
ふ、馬鹿じゃないかと我に返りながらも
この雨の中、少し晴れ晴れしい気分で駅に向かった。