永守重信「成しとげる力」読了
『35歳までに起業する』ことを志ざし、28歳で日本電産を起業。永守さんは貧困農家の生まれで、ブランドと言える学歴もなく、信用もないところからの起業だったそうです。それでも兆円の売上高を稼ぐ世界一位の総合モーターメーカーに育て上げた根底に何があるのか。
日本電産には、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」・「知的ハードワーク」・「情熱、熱意、執念」という三大精神があり、永守会長の生い立ちや様々なエピソードを添えてこれらの根底に流れる永守さん自身の考えに触れることができた一冊でした。
私が得た学びは3つあります。
1) 夢を持ち、覚悟を決める
2) 続けるということ
3) 始末のためEQを高める
【夢を持ち、覚悟を決める】
永守さんいわく、リーダーとは信じてついてきてくれる人を路頭に迷わせてはいけない、飯を食わし続けなければならない、とのこと。実に現実的です。そして、窮地の時でもフォロワーに訴求する力が必要といいます。
成しとげる力をつける人の法則①:「先憂後楽」の生き方をしている人
楽しいことは苦労したあとにやってくる。楽しいことにばかりに目が向いていては、いざというときに準備不足になる。
基本精神①:すぐやる(足下悲観、将来楽観)
先憂後楽にも通じますが、今を楽観視していては、成長はありません。休息はいいでしょう。しかし、上手くいっている時こそ「パラダイムシフトが起きたら?」と危機感を持たなければならない。そして、準備をした先には必ず成功が待っていると信じる。
「千回言行」は次の「続けるということ」にもつながります。
組織になると自分だけがそれらを信じていても組織行動には現れません。リーダーは、なんと言われようと同じことを言い続けなければならない。フォロワーの行動が変わるまで、言い続けなければならないのです。諦めたら、そこで試合終了です。
【続けるということ】
成しとげる力をつける人の法則②:常日頃から準備と努力を続けている人
“つねに明るい言葉を使い続ければ、どんな逆境のなかにでも明るい兆しを見つけることができるものだ。”
とにかく1番を目指すことです。最終的に1番にはなれないかもしれません。上には上がいます。しかし、そこで手をこまねいて何もしなければ何の力もつきません。少なくとも100万人に一人と言えるレベルまで磨き上げれば、それも3つ持てば、1兆分の一人になれます。世界人口は78億人なので、その3つのスキルセットを持っている人のなかでは1番です。
基本精神②&③:必ずやる、出来るまでやる
永守さんは、多少時間がかかっても目標は達成します。目標を達成するまで続けるのです。途中で失敗しても続けていれば形を変えてでも目標は達成できます。本当の失敗は、諦めたときです。諦めたら、そこで試合終了です。
【始末のため、EQを高める】
京都には始末屋という褒め言葉がある。それは、いらないところではお金は使わないが必要な場面ではお金を使う人、を指す言葉。(“後片付けをする人”のことではない)
永守さんは、フォロワーが天寿を全うした時、惜しみなく献花をおくるそうです。これは人によっては重要なことではないかもしれません。しかし、成長著しい会社の社長が、いち従業員の葬儀に社費で献花をおくるということは、どういう意味があるのでしょうか。
EQを高めることについて、私の視点
必要な場面とはいつ・どこか。それは、それをやって「ケチ」と思われないか否か。つまり、非財務的事象において、資金を投じることをどう判断するのか、という問い。近年は気候変動により災害が続いています。世界の政界・経済界でSDGsやサステナブル、といった言葉が飛び交います。個人的に素晴らしいことと思いますが、SDGsへの取り組みは非財務的活動がほとんどです。ゆえに、特段の取り組みをしない企業も多数見かけます。
非財務的な判断をするということは、財務数字では評価できない判断するということ。では、どう判断するのか。それには自分軸が必要。自分の信念や正義、こうあってほしいという理想像に基づく判断。すなわち、自分自身の美意識を鍛えることが必要なのではないでしょうか。
【一読の薦め】
この記事を書いているのは、COVID-19により経済も娯楽も制限がかかり希望を持ちにくい世の中になっている時。苦しくても明るい言葉を言い続ければ生き続けることはできるのではないかと勇気を頂きました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。もし、「人生を変えたい」「でも、自信ない」と思われているのなら、私のように勇気をもらえる一冊になっていると思います。ぜひ、ご一読ください。