リアルモンクの祭典:てんぐの全日本武術太極拳選手権観戦記
コロナ禍でここ数年は中止になったり無観客開催になっていた全日本武術太極拳選手権大会ですが、本年はめでたく一般公開もされての通常開催と相成りました。
このリアルモンクの祭典は、武侠クラスタにしてモンク推しのてんぐとしては見逃すわけにはいきません。
というわけで、「本日はお日柄もよろしく」という領域を飛び越えた酷暑の中、東京体育館まで足を運びました。
百聞は一見に如かず、伝統器械の妙技を見た
てんぐが今回腰を据えて見たのは、第6ホールの女子・男子の伝統器械。
どうもテレビの中継など一般的なメディアの紹介ではなかなか取り上げられない競技ですが、武侠作品の長年のファンとしては、一番見たい競技であると言っても過言ではありません。これが、今回自ら足を運んだ理由です。
で、行ってみたら、これが期待以上に大変見応えありました。
Instagramの方の相互フォローの方の息子さんも選んでいた苗刀、これは日本でいえば野太刀、ヨーロッパでいえばツヴァイヘンダーに相当する両手刀剣です。(下は参考動画です)
なので、てんぐは「男の武器」というイメージを持っていましたが、今回は複数の女子選手もこの苗刀を選択して、男子同様に堂々たる演武を披露していました。
また、洪家大刀という長兵器を選択した選手もいましたし、逆に鴛鴦鉞を選択する選手もいました。
武侠作品を自作するうえで女侠が選択する武器の幅は、もっと広くて良いのだということを学べました。
また、かねて名前を聞き、YouTubeで見てきた酔剣、そして双手剣の演武を生で見られたことは、もはや望外の喜びと言って良いです。(下は参考動画です)
今回、酔剣を演武した川上選手の動きは変幻自在というか天衣無縫というか、酔拳の剣術バージョンと言われて万人が納得できる動きでした。正直、「これは動画を撮っておけば良かった!」と公開しましたね。
双手剣の演武も大変すばらしかったです。
そして、これを観戦していて思い出したのが、古龍作品のひとつ「歓楽英雄」に出てくる謎の剣豪 南宮醜が六尺近い長剣を使っていたことを思い出しました。
古龍先生も、どこかで双手剣の存在は聞いていたのかな。後に、伝説となるこの人物のことも含めて。
また、苗刀や双手刀といった両手刀剣と、短棍と長棍の動きは、やはりどこかグラデーション状に相通じるものがあるように思えました。
もちろん互換性も100%とは言えないでしょうが、仮に70%だとしたら、相互に学べる際の時間はゼロからに比べて短縮できるはずです。
武芸十八般または十八般兵器という言葉は現実味を帯びてくるように思えてきました。
こういったことを実感して思うことは、まさに、「百聞は一見に如かず」でした。
ここはリアル武林だ
男子伝統器械の選手には、やや小ぶりな刀(餓虎群羊刀かな?)や朴刀や月牙鏟といったゴツめの武器を選んだ選手もいました。
で、その選手が、その、なんというか、「こんな人、水滸伝とか金庸作品にいなかったっけ?」と言いたくなるタイプの豪傑オーラと、それに相応しい堂々たる演武と高得点を見せてくれました。
そして、この大会の出場者は、自分の演武が終わると、そのままの衣装と道具を持って観客席へ移動して知り合いの応援の声をかけるも珍しくありません。で、その応援の声の張りがまた良いんだ。
上記の豪傑オーラの出場者も例外ではなく、見ていて「ここはリアル武林だ」と感じました。
こればっかりは、会場に実際に行った者だけが味わえる楽しみかな。
D&D2024年版のモンクに望むもの
ここからはD&Dユーザーとしての感想と意見になります。
D&D2024年版モンクの可能性については、上記の記事を書いたことがあります。
新モンクは必ずしもカンフーマスターのイメージになるわけではない、という路線を選択するようではありますが、ここであえて現行のD&D5eの追加サブクラス剣聖門のように「武器術を使いこなすモンク」を出すなら、[重武器]特性を持った両手用武器も、剣聖武器(またはそれに相当する取扱)として解禁してほしくなりました。
もっと言えば、ファイターのバトルマスターの戦技を取得可能とし、さらに軍用武器全体に習熟を与えて「戦うものとしてのモンク」として明確に定義づける、という選択肢も浮かびました。
全ての拳士、リアルモンクへの敬意を込めて
今回は伝統器械と棍術、そして最終盤の第1コートの自選難度部門の各種目に絞って観戦してましたが、他のコートの熱気は充分に伝わってきました。
全ての出場者へ敬意を表します。全員が皆、眩しいくらいに輝いていました。
そして、今後の大会での活躍、そして日々の修行における奮起を祈り、心からのエールをお送りします。
加油!