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『給食アンサンブル2』収録作品紹介①
学校給食をテーマに、中学生の少年少女の心模様を描いた連作短編集『給食アンサンブル2』の発売まで、あと2週間となりました。
前作『給食アンサンブル』と同様に、『2』でも6品の給食の定番メニューを題名に冠した物語が収録されています。発売までのあいだ、その6編の収録作品を、ひとつずつご紹介したいと思います。まずは第1話の「アーモンドフィッシュ」から。
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――残念だったね。
バスケ部を辞めてから、何人もの相手におなじようなことをいわれた。
だけどぼく自身はほんとうに、残念に思っているんだろうか。
「アーモンドフィッシュ」の主役はもとバスケ部員の慎吾。前作でもバスケ部員の満や雅人の友達として、ちょこっとだけ登場しています。
2年生になったばかりの4月のこと、脚の故障でバスケ部を辞めた慎吾は、部員不足の吹奏楽部に勧誘されます。彼は和気あいあいとした吹奏楽部のふんいきに魅力を感じますが、なかなか入部を決心することができません。
楽器の経験がまったくないので、2年から入部して活動についていけるか不安というのも理由のひとつ。しかしなにより慎吾に決断をためらわせるのは、バスケ部を辞めてからずっと消えないうしろめたさと自己嫌悪でした。
退部は脚の故障が原因でしたが、優柔不断な性格で、親のすすめにながされるようにして退部を決めてしまった慎吾は、自分がほんとうにしかたなく部活を辞めたのか、それとも脚のことを理由にしてバスケ部から逃げたのか、いまだにわからないでいるのでした…。
前作『給食アンサンブル』は、主人公の少年少女が給食を通じて変わっていく物語でした。それに対して『給食アンサンブル2』は、なにかに「気づく」物語といえるかもしれません。
新たに主役となる6人の中学2年生たちは、給食や給食で定番の料理をきっかけに、自分のほんとうの気持ちや、自分がほんとうはどうしたいのか、そしてそれまで知らなかった自分の一面に気づいていきます。
アーモンドフィッシュをきっかけに、慎吾はなにに気づくのか。物語を読んでたしかめてみてください。2年生になった前作主人公の満や雅人も登場しますよ~。