ミシシッピアカミミガメの成体の飼育環境 - 水槽,濾過機,ろ材編


はじめに

この記事の目的

ミシシッピアカミミガメが2023年6月1日より条件付特定外来生物に指定されました[1].YouTubeなどをみても子どものカメの飼育についての動画は多いものの,成長したカメの情報はあまりないように思えたため,成長したカメの飼育に困っている人の参考になればと思い執筆しています.

飼育しているカメ

ミシシッピアカミミガメ,メス,甲長24cmほど.
大学から帰ろうとしていたら水辺のない場所にカメがいるのを発見し,保護.
夏で特に暑い時期だったため,このまま干からびさせるか連れて帰るかしか選択肢がなかったため連れて帰った.

注意事項

ミシシッピアカミミガメについてのnoteであり,他のカメのことは知りません.また,どれくらいの大きさまで成長するのか,何年生きるのか,といった基本的なことは知っている前提で執筆しています.
また,Amazon アソシエイトリンクを使用している箇所があります.

実際の私の飼育環境

飼育ケース

飼育ケース:縦120 cm 横80 cm 高さ60 cmの生簀のようなもの
(商品リンク:https://item.rakuten.co.jp/touunkokusai/ltt24081010720/?variantId=10705&s-id=ph_pc_itemname)
水深:およそ50
 cm
水量:およそ480リットル

濾過機とろ剤,バクテリア材

セットしたのが執筆時よりかなり前なので間違いがあるかもしれませんが,水質に大きく影響するような間違いはないと思います.
吸水側→排水側の順番で記載しています.

【外部フィルター】
GEX メガパワー9012
:1層-粗目スポンジ,2層-リングろ材,3層-シポラックス 1リットル,4層-細目スポンジ
エーハイム2211:大きめのリングろ材,小さめのリングろ材,バイオボールのようなもの(貰い物なので全てメーカー不明)
テトラ オート パワーフィルター AX-45Plus
    濾過層のうち吸水側:付属のブラックスポンジ2枚,付属のリングろ材
    濾過層のうち排水側;シポラックスミニ 500mL

【投げ込み式フィルター】
GEX コーナーパワーフィルター2
:サイズにあうように切った粗目スポンジ半分,中目スポンジ半分(商品リンク:https://amzn.to/4fbDcYi 中目スポンジも同様のメーカーです)

GEX e~ROKA イーロカ PF701:純正のろ材を使用
ロカボーイM×6個:すべてロカボーイ「ストロングスポンジ」にろ材を変更,GEX バクターセルコネクトを装着.水槽の端に均等に配置.
エアー:水作 水心SSPP-2S,水心SSPP-3Sをそれぞれ3分岐させエアーを供給

【上部フィルター】
コトブキ トリプルボックス600
    第1層:バイオリング入るだけ(メーカー不明)
    第2層:純正の粗目スポンジ→GEX コーナーパワーフィルター2でも  用いた和気産業の中目スポンジ→純正の細目スポンジ
    第3層:純正のWバイオ・ボールタイプとWバイオ・リングタイプ
上部フィルターへの給水:エーハイム コンパクトオン 1000 NEW,供給量最低

【バクテリア材】
GEX アクアリスタ ベストバイオ

以上.

水換え頻度と水質

水槽立ち上げ時にバクテリア材としてGEX アクアリスタ ベストバイオを投入した.2週間後,効果を確かめるために全ての水を入れ替え,1週間後の水質測定を行いました.この間糞の除去などは行っていません.餌の食べ残しはありませんでした.

結論

アンモニア,亜硝酸,硝酸塩ともに0mg/Lでした.アンモニアの測定にはバイコムスターターテストキットを,亜硝酸,硝酸塩はsera社のものを使用しました.かなり直感に反する結果でしたがバイコムのテストキットで2回チェックしどちらも0だったので濾過がかなりうまく働いているのかもしれません.しかし,あまりにもありえない数値だったので,3日後(10日経過)に再度測定すると,アンモニアが1(単位不明だが「注意」の範囲,説明URL:https://www.bicom.co.jp/products/detail.php?no=NDQ= ),亜硝酸が10mg/L,硝酸塩は0mg/Lでした.実際,水に鼻を近づけると若干臭いがあったため,半分の入れ替えを行いました.

また,始めの2週間で亜硝酸と硝酸塩濃度をチェックした際,亜硝酸が0,硝酸塩が10mg/L以下という結果が出ていたので,とくにシポラックスやシポラックスミニ,バクターセルコネクトが思ったより仕事をしているのかもしれません.

根拠

飼育に必要な広さ

ミシシッピアカミミガメを飼育するには,1インチ(約2.54 cm)につき10ガロン(約38リットル),つまり1 cmあたり約14.9リットルの水容量が必要です[2].
また,ChatGPTによると甲長の4-5倍の長さと2-3倍の幅を必要とするそうですが,私が調べた限りでは信頼できる情報源からそのような情報は得られませんでした.
私の拾ったカメはメスであり,メスは最大30cm程度まで成長する[4]ので,水量はおよそ450リットル必要です.縦120 cm 横80 cm 高さ60 cmの飼育ケースに水を50cmの高さまではると480リットルになるため,この飼育ケースを選びました.

なぜ飼育ケースを上記の商品にしたか

  • 熱帯魚用ガラス/アクリル水槽:120cm水槽となると3万円以上する上に,横幅が60cmある製品はほとんど見つけられなかった

  • アクリルで自作:費用がかかりすぎる

  • 木材で枠を作り,防水シートを貼って水槽代わりにする:こちらも費用がかかりすぎる

  • 上記の製品:他と比べれば安い.引越し時もバラせるので楽

濾過機とろ材

前提として,糞は基本的にはとりますが(今回は実験的に取らなかっただけ),それでもカメは水を熱帯魚に比べ圧倒的に汚します.さらに,面倒なので水換えを1週間に1度にするには,物理濾過,生物濾過が非常に重要と考えました.

  • GEX メガパワー9012:メインとなる濾過機.シポラックスはバクテリアの繁殖に適している.シポラックスの使用方法に物理濾過を行なった水を供給すると良いとあったので,粗目マットを2枚使用し大きなゴミを除去した.

  • エーハイム2211:サブとなる濾過機.物理濾過は投げ込み式フィルターに任せ,この濾過機は生物濾過のみとした

  • テトラ オート パワーフィルター AX-45Plus:こちらもサブとなる濾過機.小さいのでシポラックスミニが最適と考え使用した.

  • GEX コーナーパワーフィルター2,GEX e~ROKA イーロカ PF701,ロカボーイM:投げ込み式は基本的に物理濾過とした.理由は掃除が簡単だから.

  • コトブキ トリプルボックス600:こちらも物理濾過がメイン.第3層はともかく第1層は水の流れがかなり緩やかだと思われる.第2層のスポンジフィルターがメインだと考えている.

デメリットと対策

  • ビニール製なので吸盤がくっつかず,濾過機などを固定できない:アクリル板を購入しビニールに貼り付けることで対応した.貼り付けには気密防水テープ(商品URL:https://amzn.to/48atjHK)を使用したが,すぐに一部が剥がれてしまった.側面と底面にアクリル板を貼り付けたが,側面部分は使用開始から1ヶ月程度経った現在でも落ちていない.おそらくアクリル板の上の部分は水につからないように(一番上のところ)貼り付けたためだあと思われる.これから使う方はテープではなくエポキシ系接着剤などの強力かつ水生生物への影響が少ないもので接着した方が良いと思われる.ただし,万が一のために接着後24時間経過した後に水を入れ,さらに24時間後に水を全入れ替えするのが安心と思われる.

  • 大きすぎてワンルームだと部屋が小さくなる:仕方ない.

ロカボーイを6個も使った理由

生物濾過を担うバクテリアは酸素を必要としますが,一般的なカメ水槽では水草などがなく,酸欠になりやすいです.さらに,カメは大量の排泄物を出すため,その分バクテリアの求める酸素量も多くなります.
一般に,1ガロン(約3.8L)あたり0.03~0.06リットル/分のエアー供給が推奨されます[3].私の飼育環境である480Lの水槽の場合、約3.8L/min~7.6L/minのエアー供給が理想とされますが,使用しているエアーの供給量は水心SSPP-2Sで3.5L/min,水心SSPP-3Sで2.5L/min[4]と合わせて6.0L/minであり.適正範囲に収まっています.大型の亀を飼育していることを考えても,少し多いくらいがちょうど良いと考えました.どちらも水心SSPP-2Sでもよかったのですが高かったのでケチりました.

普通に水作を使うとうるさいですが,つるすと静かになります.私はキャンプ用のランタンを掛ける棒を使い,フック部分にコードを通し,結束バンドで締め付けることで取り付けました(付属の穴は小さくて通りませんでした)(商品URL:https://amzn.to/4fbmpV2 どこか挟めるところがあれば床に穴をぶち開けなくても使えます.)

脱窒について

シポラックスやバクターセルコネクトは脱窒が可能と言われていますが,脱窒は酸素濃度の低い嫌気性環境で行われるため,エアーを供給していて,かつメガパワー9012は強い水流を持つため,脱窒は起こりにくいと考えます[5].



参考文献


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