HCC に対するSBRT
HCC に対するSBRT は非常に有効な治療なのに手術やRFA といったその他の局所治療より前向き試験やRCT などエビデンスに劣るということで未だにガイドラインでの扱いが、検討しても良い程度のものとなっている。当科でも以前データを出したが三年でLC 90%程度で悪くない、過去の論文でもRFA と同等か場合によりそれ以上のlocal controlが期待できる、TACE よりはもとろんLC は上回るし治療の負担、コストも結果的には安くなる。広島大も論文を出していたと思うが40Gy /4fr程度で治療期間もそれほど長くない、大船などの40Gy/5frの報告も本邦では多い。中低線量域は多少広がるので正常肝への影響はある、ALBI スコアもRFA より少し悪化という倉敷中央だったと思うがデータもあるが、許容内とする論文の方が目につく印象だ。CP スコア二点以上上昇も一割前後の症例くらいの報告が多いと思うし当科で出したものも同程度だった。個人的には血小板を加味したPALBI も低下するので門脈圧亢進への影響も懸念しているが…。肝障害に関しては肝硬変の自然経過なのか肝内再発後の治療による影響などで評価が難しい問題をはらむ、利尿剤の使用なども修飾因子となる。
肝門部など胆管狭窄リスクから注意を要するし胃や腸管が近いとこれまた厳しい場合もあるが、腸管近接例は大船の42Gy/14frや駒込の40Gy /10fr でもある程度戦えると考えている。その他、内科の先生と話すときに何ヵ所まで治療するか、できるか、いつも悩む。当科でも二、三回なら肝予備能や病変の体積などによっては安全に治療できているが、どこまで大丈夫と安易に言えるデータが少ないのでいつも悩む。広島大からデータが出てもいるのでそれも参考にするが、患者さんに説明するときも悩ましいことがある。あとは息止めで治療しているので、息止めがうまくできない症例も悩ましい、腹部圧迫のノウハウが欲しいところなのだが…当科にはまだそこが不足している。
症例によって悩むところもその他にももちろんあるし、CP 7-8点以上など難しいところもあるし腫瘍が4cm以上だとプロトンがいいのだが、だいたいの汎用機でやれるSBRT はもっと広めていくべきと思う。現状ではガイドラインの内容からは他科のドクターによっては受け入れてもらえない場合もまだまだあるのだが、カンファレンスで積極的に
発言したり自施設でのデータを出して他科のドクターに提示したりして、広める努力はできるはずと思う。それすらやらないのであれば他科のドクターから怠慢と言われても文句は言えないと思う。あとは一例一例自らのプラクティスを定期的に振り返り自己フィードバックを繰り返したり、学会発表や論文も読んでいくのも当然大切であると思う。できる範囲で少しずつ努力を積み重ねていきたい。