主語ではなく”動詞”を軸にしたら、英語のリスニング力が飛躍した話(英語#1)
※この記事は、英語のリスニングスキルに関する備忘になります。厳密さはなく、個人的な経験に基づく情報である点ご了承いただければと思いますが、筆者はこれで英語の現地ニュースの意味が聞き取れるようになりました。
以下、本文です。
前置き:リアルなネイティブ英語の聞き取りの難しさ
私は長く英語学習を続けているタチなのですが、どうしても苦手なのがリスニング。そもそもアルファベットは表音記号であり、文字よりも「音」が大事な言語なのですが、私も多くの日本人の皆さんと同様、文章・文法ベースで英語学習をしてきました。
そうなるとやはり、巷で言われているように「読めるけど話せない」という状況になるのは自然です(スピーキングが苦手という状態)。
一方、意外にも学校の英語では英語音声を聞き取らせるテストなどもあるため、リスニングは意外とできる、という自己認識の方も多いかもしれません。
ただ、ここで取り上げたいのが「英語の現地ニュースやYoutubeでのネイティブ間の会話」など、とても速くリズミカルにうねるような英語のリスニングについてです。これは受験英語や、NHK英語ニュースなどで取り上げられる丁寧な英語とは格段にレベルが違う、と感じる方も多いと思います。
今まで試した方法:有効だが突破口は見い出せず
以下は今まで私が試してきた方法です。
「英語の発音を近いカタカナで表し、英語の発音に慣れる方法」
ざっくりイメージ:I wanna tell you →アイ ワナ テウ ユー、のようにまずは慣れ親しんだカタカナで英語の発音に慣れていく「シャドーイング」
英語を聞きながら同時進行で発音をまねる方法
ネイティブがどのように音を発しているか、という感覚が身につく「ディクテーション」
英語音声を聞き逃しせずに、書き取る練習。正解を見ずに繰り返し同じ音声と向き合うことで音の聞き取りに集中する。単語同士の発音がつながっていく”リンキング"という特性も身につく
これの方法は、多くの書籍や動画で取り上げられていますし、私も全く効果を否定はいたしません。むしろ英語の足腰をつけるためには有効であると感じます。
本題:おすすめの方法は、「動詞」を追いかけること
しかし、いざネイティブの英語を現地ニュース(BBCやCNNなど)やYoutubeで会話を聞いてみると、これが速いこと速いこと・・。
なんとか文法や構造をとって聞こうとしますが、「音に集中すると構文で迷子になり、構文に集中すると音を聞き逃す」というジレンマに陥ります。
そんな中、ある方法を意識したところ格段にリスニング力の向上を実感しました。それが、「動詞」を探すことに集中するということです。
英語は主語(S)と動詞(V)が不可欠な言語です。学校で習う5文型も、すべてS+Vから始まっていることがわかります。
第1文型:SV
第2文型:SVC
第3文型:SVO
第4文型:SVOO
第5文型:SVOC
ここでいうSは、動作の主体であり、「何が」「誰が」の部分に相当します。つまり何の話をしているか、というトピック、話の起点になるため、当然重要であると考えられます。集中して主語(S)を探すというリスニング方法は一見、合理的であるように思われます。
ただし、ここに英語ヒアリングの落とし穴があります。
段々と細かい話になってきますが、当然ながら主語(S)には名詞や名詞句が入ります。当然、主語に注目してリスニングをすると、名詞を探すことになりますが、ここで落とし穴が幾つかあると考えます。
主語以外にも名詞が随所にあらわれるため、主語なのか目的語なのか、後置詞なのか、一瞬では判別がつきにくい
一文が長くなる(修飾などが多い)と、重複を避けるため主語が抜け落ちがち
英語は補足情報を後付けしていく言語のため、同じ文章の間に動作の主語が変わってしまっていたりする
そのため、主語(名詞)に注目しすぎると文章の起点、文章の本筋にあまり関係のない名詞に対して「次に動詞が来たら新しい文章が始まるかも」等といった意識に持っていかれてしまったり、そもそもの動作主体「誰が」「何が」ということを結果的に見失ってしまうことがあります。
これでは本末転倒です(そのくらいにネイティブの英語は速い)。
では、「動詞」に着目するとどうでしょう。
動詞(V)は、主語(S)と同様に5文型の中でも必須で登場します。
先ほど、英語では文章が続くときにもともとの主語が抜け落ちたり、別の主語(動作主体)に置き換わったりする、と説明しました。
動詞(動詞句等)は動作、行為そのものを示すため、省略の対象になりにくく、また、出来事をイメージするうえで一番有用です。
英語は、周辺情報・付加情報を後ろに付け加えていく、とも説明しました。これを、複雑な長い英語の作られかたのイメージとして関数の「入れ子構造」に例えてみましょう。
よくニュースで話されるような長い英文
=(SVO←(SV)←(VC ※S省略))) 3つの入れ子構造になっている
このように、最初のSは文章全体には有効であるものの、2つめのSは1つめのOに対する説明になっており、その動作の主体は2つ目のSに置き換わっています。そのまま文章は閉じられていきますが、「最初のSの話はどこからどこまでなの?」という戸惑いがあると思います。
英文読解などのリーディングであれば、文章にはピリオドがあるため、どこで話が終わっているかが判断しやすく、また後ろから翻って読めるため戸惑いは少なくできますが、速い会話ではそうはいきません。
この中で、動詞(現在分詞や過去分詞など、形は変えることはありますが)は必ず「出来事」を表すパーツとして出てきます。
原形(V)は主語が行った行為そのもの(=出来事)
現在分詞(Ving)は、上記の継続や連続性を表す(=出来事)
過去分詞(Ved)は、be動詞との組み合わせでの受身形や単純な過去「した」、そのあとに出てくる名詞に何かを「された」(=出来事)
もちろん、厳密なことを言えば動詞の現在分詞や「動名詞」として主語にもなり得ますが、「~~をすることは、」というように出来事を表すため、理解の妨げにはなりにくいです。
まとめ:日本人に合った方法かも
長々と書いてきましたが、ぜひ「動詞(動詞句)」を拾って出来事を把握する、という発想で英語をリスニングしてみてください。
言語の解説書などを読むと言及されていることもありますが、我々日本人(日本語)はもともと、主語がなくても成立する言語で、出来事を映像的にとらえており、映画のスクリーンの中から一人称・二人称視点で物事を見ていると言われています。
このことから、今回紹介した「目に何が映っているか、何が起こっているか」という動作を軸に英語を理解することは、日本人にとって得意なことであり、英語という「音」のハンデを補うための合理的な方法とも言えるかも知れません。
ぜひ、実践してその効果を実感してみていただけたら幸いです。
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