『美女と野獣』レビュー(映画)
(2017年に執筆)
映画 『美女と野獣』(2017)
ディズニーの90年代アニメーションを実写化。
真実の愛をテーマとしたラブストーリーであるが、設定がわかりやすい。
ストーリー骨子
主人公のひとりである野獣は、その名の通り獣の外観を擁している。
そこに現れるもう一人の主人公、ヒロインであるベルは天真爛漫で村の外の世界に憧れを持つ少女。
当初はお互いを分かり合えない二人だが、少女の偏見のなさ、芯の強さに野獣の心が徐々に開かれる。
一方の少女も、野獣の素朴な人柄、優しい一面に気づき心惹かれていく。
内面を見つめる力
人は外見で物事を判断しがちである。それ自体は自然なことであるし、考察を伴わない素早い判断によって楽に暮らしていける面もある。
しかし外見にとらわず、内面を見ぬく繊細な審美眼もまた重要だ。
本作においてベルは、野獣の内面にある優しさに誰より早く気づいていた。
彼は優しく、誰かを傷つける存在ではないと。
その象徴的なシーンが、野獣への呪いが解けるラストシーンだ。ベルは人間の姿に戻った野獣(本名失念、失礼)の目の奥をまっすぐ見つめ、そこに野獣の眼差しをふたたび見出すことになる。
ともすれば、着ている服や顔の作り、背格好などに目が向いてしまいそうな場面でのことだ。
感動を伝える表現技術
これらのストーリーを、本作では自然なCGで表現している。野獣や、その家来の家具や食器たち。世界観になじみ、コメディを交えつつ華麗な演出で場面を盛り上げる。
音楽も繊細であると同時に壮大で、本作のテーマである真実の愛、そしてその裏側にある苦難・苦悩を余すところなく表現している。
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