しずくちゃんですから逆上がりはしない/暮田真名
シリーズ・現代川柳と短文NEO/158
さて、ここでわたしたちは二又のわかれ道に立った。すなわち「しずくちゃん」を検索する道としない道である。2本の道を同時に歩むことはできない。繰り返そう。しずくちゃん、である。どことなくファンシーな響きをまとっている。水滴をモチーフにしたキャラクター、という線はありそうだ。その場合2頭身だから、鉄棒に腕が届かず、逆上がりもできない。それを、できないのではなく「しない」として、意思による選択のニュアンスをまとわせる。しずくちゃんの輪郭がすこし変わって見えてくる。いや、ことはそんなに単純だろうか。わたしたちは、鉄棒が濡れているかどうかをたしかめなくていいのだろうか?
【きょうの現代川柳】
しずくちゃんですから逆上がりはしない
/暮田真名
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