従兄弟のなかで一番しりとり/栫伸太郎
シリーズ・現代川柳と短文NEO/149
しり兄(しりにい)はしりとりが強かった。むろんボキャブラリーも豊富だったが、強さの理由はそれだけではなかった。しりとりというゲームは、そのわかりやすさゆえルールばかりが強調されて伝わっているが、じつは、相手の言う主張を相互で認め合うことを要する、コミュニケーションゲームの側面もある。たしかにルール上は「いぬ」のつぎは「ぬりえ」が正しいだろう。しかしそれを「まりも」でクリアしてしまうようなところがしり兄にはあったのだ。
【きょうの現代川柳】
従兄弟のなかで一番しりとり
/栫伸太郎
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