粉末の終わりの方に鴨を置く／栫伸太郎

シリーズ・現代川柳と短文NEO／244

　鴨が葱を背負って来る時代は終わり、葱が先に来てそのあと鴨がやって来る時代も終わり、ついに葱は粉になってしまった。いまや、粉の終わりの方でようやく鴨が置かれるありさまだ。その鴨も遠くない未来には粉になるにちがいない。そのき、かもねぎ（鴨葱）は、こなこな（粉粉）になる。要するにそれは、ただの粉だ。

【きょうの現代川柳】
粉末の終わりの方に鴨を置く
／栫伸太郎

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