ゆどうふを歴史の重みから守る/暮田真名
シリーズ・現代川柳と短文NEO/148
湯と豆腐である。厳密にはそこに出汁が加わることがほとんどだろうが、だからと言って、出汁豆腐と言うと雰囲気が変わってしまう。ここはやはり、湯と豆腐である。たったそれだけのことではあるが、いや、たったそれだけのことだからこそ、人はそこに、あれやこれやと思いの丈を込める。べつにそれじたいはいい。ただ、ときどきは立ち止まり、なにも考えず、ぼーっとしよう。雲が流れていく。草木が風で揺れている。ふと気づけば、そこには自分がいて、目の前には湯と豆腐である。そのことを、ただそのこととしてとらえること。そのむずかしさ。
【きょうの現代川柳】
ゆどうふを歴史の重みから守る
/暮田真名
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