つやつやの月を拾って口に入れる/暮田真名

シリーズ・現代川柳と短文NEO/132

 名作『火垂るの墓』の節子の口の中のおはじきの舌ざわりをよく覚えている。自分では口に含んだことはないにもかかわらずだ。表面はつるつるしていて、歯が当たるとかちんと鳴る。熱いこともあれば冷たいこともあるが、しばらく口中に置いておくと、しだいに自分の体温と同じになる。

【きょうの現代川柳】
つやつやの月を拾って口に入れる
/暮田真名

▼出典


いいなと思ったら応援しよう!