言葉にできない好き
どんな傾向の映画が好きなのかいまだに自分でもよくわからない。
なんでも好きなわけじゃない。好きにパターンが無いみたいなかんじ。ベスト映画を訊かれたら即答で『ロボコップ』と言うが、説明をつけやすくて角が立たないからそう言っているかもしれない。そういえばどこかのタイミングで「これからベスト映画は『ロボコップ』にしよう!」と決めたことがあるような気もする。
なんとなくおぼろげに「アイドル映画」的な雰囲気が好きというのはある。文字通りアイドルが出演している作品も含むが、もっと広い意味でのアイドル映画的な雰囲気。いわゆるプロの俳優らしからぬ空気をまとった演技(むろんプロがやっていることもある)や、それがあることで生まれる画面・物語の「作り物っぽさ」とか、そういったあれ。ほらやっぱり言語化できない。つまり自分でもよくわかっていないのだ。
これがきれいに言語化できればなあ、と思うことはままある。たとえば『仔犬ダンの物語』のクライマックスで出演者たちの目にあふれるスポイトの涙のすばらしさをどう言葉にすればいいんだろう。でもへたにそれを試みて(自分やその作品が)バカにされたり見くびられたりしたら逆効果なかんじもするしなあ。作り物感、フィクション感、茶番感、嘘くささ。それがストレートに褒め言葉になるわけはないが、そういうあたりにきらめきがあるのはわかっていて、しかしそれをどう言葉にすればいいのかわからないのだ。
うーん、わかりたくはある、言語化したくはあるけどなあ。でもわかったらねえ、それもう映画観なくていいってことになるのかもしれないなあ。