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【#10】北米/中南米の中波放送は周波数ステップ(間隔)が違う!

こんにちは、ラジオと地理です。
今回は、米国(US)だけではなく、北米/中南米大陸の中波(AM/MW)局の周波数ステップが、日本と異なる点について触れて参ります。

ところで、国際間の電波に関連する取り決めは、国連機関の一つである「ITU 」(International Telecommunication Union / 国際電気通信連合)という組織の管轄となっています。

ITUでは周波数を分配するため、世界を3つに分割しているのですが、日本を含めたアジア(中東やモンゴル等を除く)とオセアニアは第3地域に入って(下図の紫色)おり、ここでは中波放送の周波数間隔(ステップ)が、9kHzと決められています。
日本では531kHz~1602kHzの範囲が、通常の放送に使われています。
第1地域となる欧州/アフリカ/中東/旧ソ連/モンゴルの各国も同様に9kHzステップです(黄色)

ITUが定義している3つの地域区分

ところが、水色の第2地域となる北米/中南米は、10kHzステップのままなのです。
「ままなのです」と書いたのは、実は1978年までは日本も10kHzステップだったので、それ以前は全世界が10kHzだったと思うからです。
詳しい理由は分かりかねますが、恐らくは局数が増えてきたので、実用上差し支えない範囲で間隔を狭めたのでしょうが、第2地域だけは残ってしまったのかと察しています。
ですから、USも含めた南北アメリカ大陸で中波局を聞く際は、双方に対応した機種を用意しましょう。
ご参考まで、私が持っている台湾SANGEAN製の「HDR-14」ですが、裏面には次のような説明が印字されています

HDR-14の裏面

下の2行に「AM(9K)」と「AM(10K)」の2つがありますが、前者が9kHzステップ、後者が10kHzステップの意味でして、切り替えたい時は電源を入れる際に特定のボタンを一緒に押す仕組みです。
ちなみにFMですが、この機種は日本のFM周波数帯(76~90MHz)が一部範囲外(87.5MHz以下)になっちゃいます。

別の機種をみてみましょう。
中国TECSUN社の「PL-660」という(少し古いけど人気がある)機種ですが、裏面は次の通りでした。

PL-660の裏面

この機種では中波を「MW」(Medium Wave)と表現しており、範囲も二つ書いてありますが、私の個人的な印象ですけど「MW」は主に欧州で、「AM」は主にUSや日本で好まれるようです。
ここでは、最初が「522-1620」後が「520 - 1710 kHz」と書いてあり、間隔までは記載されていませんが、前者が9kHzステップ、後者が10kHzステップに対応している意味で、何らかの操作で切り替えるのでしょう。
ちなみに、FMは「76-108MHz」とありますので、日本のFM帯に加えて大半の国のFM放送帯をカバーしていますね。
ただし、東欧や旧ソ連の国々だけで、局数は減っていますが「OIRTバンド」と呼ばれる65.8〜74MHzもまだ使われています。

ところで、日本の東京近郊で送信されているAFN(米軍放送)の周波数は810kHzで、10の倍数です😅
これはUSで買ったラジオ(受信機)でも、そのまま聞ける周波数だからでは?と想像しています。

米軍横須賀基地でAFNを聞く

東京のFMラジオ局「interfm」が、89.7MHzに周波数を設定しているのと、似た背景かもしれませんね。
AFNのように9kHzでも10kHzでも、どちらでもOKという周波数は次の14になるようです。
540、630、720、810、900、990、1080、 1170、1260、1350、  1440、1530、1620、そして1710。

気を付けておきたいのは、US領土でも第3地域に入る所がある点です。
身近な北マリアナ諸島(グアム島やサイパン島など)が当てはまりますが、ハワイは第2となります。
グアム政府観光局のサイトによると(2009年現在ですが)次の3局がリストされていました。
KGUM局(567kHz)、KUAM局(630kHz)、そしてKTWG局の800kHzですが、こちらは実際801kHzで送信されているようです。

ちょっと面倒な話ではありますが、US現地ラジオ事情の観点では大切な知識になりますので、是非覚えておいて下さい!

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