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【#15】豪州ラジオの全般的な状況

こんにちは、ラジオと地理です。
前回、豪州(オーストラリア)のデジタル地上波ラジオ(DAB+)といった、いきなり個別の話題に入り込んでしまいましたので・・・今回はもっと全般的な状況について書いてみます。

懐かしの「ラジオ・オーストラリア」

豪州のラジオ局といえば、1970年代に大流行した「BCLブーム」で爆発的な人気となった「ラジオ・オーストラリア」の、日本語短波放送を思い浮かべる方もおられるでしょう(何を隠そう、私もそうでして・・・)
日本からみると豪州は地理的に真南となって、季節は逆ですが時差が小さいのはご存じの通りですが、電波の相性が良いことでも知られています。
つまり、地球の磁場による影響で電波が伝わりやすいことも、後押ししました。(参考 Wikipedia)

既に短波放送は全廃、日本語番組も廃止されましたが、この局は日本のNHKに相当する公共局ABC (Australian Broadcasting Corporation)の海外放送部門で運営されていました。
日本でいうところの「NHKワールド ラジオ日本」に相当しますね。
懐かしい「ラジオ・オーストラリア」の名称は今でも残っていますが、現在は太平洋地域向けのみで、英語の方言であるピジン英語も使われる系統(チャンネル)になっています。
なお、豪州からの短波放送は、今でも一部の民間局が行っています。
また、国内向けの外国語番組は、SBS(後述)が担っています。
(参考 ABCのポータルサイト)

(参考 私のマガジン  NHKワールド ラジオ日本について)

豪州のラジオ事情は、英国的?

さて豪州のラジオ事情ですが、あくまでも私の印象で恐縮なのですが、「米国的」と言うよりは「英国的」だと思います。
まぁ、国旗でも分かる通り英連邦(Commonwealth of Nations)の一角ですから、様々な仕組みや文化が英国的なのは、想像に難くないですね。
私が意図する「英国的」の趣旨ですが、公営局が主役となるスタイルで、かつ多くのラジオ系統(チャンネル)を展開しているものの、その一方で公営以外(商業/民間 etc )の局も、相当の数に達している…といったことです。
実際にシドニーやメルボルンなどの大都市でFM放送を聞くと、周波数帯はビッシリと埋まっており😅 足の踏み場もない程の混雑ですから、局数はかなりの数になります。
この逼迫した状況が、デジタル地上波ラジオ(DAB+)への移行を早めた理由の一つなのでしょう。
米国(US)の場合ですが、ABCのような中心的な存在の公営局はなくて、
「NPR」が各地の公営メンバー局をサポートする、ゆるやかな連合体といったスタイルですね。(参考 NPRについての記事)

ちなみに、本家本元?の英国ですが、公営のBBC (British Broadcasting Corporation)はラジオにも熱心なことで知られていまして、系統数は何と10以上にも達し、NHKの3系統(第一、第二、FM)とは比較になりません。
更に「第二」は来年度に廃止予定なのです…。
BBCラジオの系統一覧は以下のサイトですが、すでに「Sounds」といった表現になっていまして、いわば「音声コンテンツ」との位置づけですね。
全国向けが「Radio 1」から「Live News」まで、「Radio Scotland」より下が地域向けで、地域言語が使われる系統もあります。
公営以外の地上波ラジオ局数ですが、ローカル局・コミュニティ局だけでも、併せて500局くらいにもなりますね。

豪州の地理的状況からみるラジオ事情

まずABCですが、ラジオは「Radio National」(総合編成)「News Radio」(ニュース)「ABC Classic」(音楽)「Triple J」(音楽とトーク)などなど、ネットのみも含めて18系統あるようです。
英連邦の国らしく、クリケットのチャンネルもあって「Wonen's Ashes」も女性クリケットの国際シリーズだそうです。

ラジオの系統一覧 「ラジオ・オーストラリア」も残っています

公営以外の事業者は本当に沢山ありますが、代表的な企業ですと「Southern Cross Austereo」や「Australian Radio Network」があります。
ところで、地理的な観点から豪州をみてみると、パッと思いつくのは面積が巨大で人口が都市部に集中していること、そして日本人も含めて移民が多いことがありますよね。
これがラジオ事情にも如実に反映されていまして、前述の通り都市部の局数が極端に多いこと、そして英語以外をメインとする局が目立つのが一つの特徴なのですが、その象徴的な存在が何と公営SBS(Special Broadcasting Service Corporation)です。
移民や少数民族向けに多くの言語を使いTV/ラジオで放送を行う、日本ではみられないタイプの局(組織)なのです。
財源の85%が政府交付金ですが、広告収入も認められており(日本でやったら民業圧迫?)放送時間の半分は英語以外、日本語もあって番組もネットから簡単に聴けます。(参考 SBSのポータルと日本語のページ)


日本語番組は火・木・土の(どこの時間か不明ですが)午後10時から 「SBS Radio 1」の系統から送信されているそうです。
(例えばシドニーですと中波の1107kHz)

ちなみに中波局は豪州でも残っていますが、欧州などと違い完全な廃止は暫く難しいのではないか?とみています。
前述の通り都市人口率が高いとはいえ、outbackと呼ばれる荒野にも、少なからず人は住んでいますから。
衛星ラジオはあるにせよ、長い距離を飛ぶ中波はそう簡単に「不要」とはならない気がしますし、何年前か忘れましたが(割と最近まで)北部地域(Nothern Territory)でABCによる国内向け短波送信が残っていました。
既に廃止されましたが、日本で私も聞いたことがありました。

豪州のラジオ事情について書いてみて、やっぱり「ラジオ」と「地理」は結びついていることを、改めて認識する機会になったと(勝手に)思います。😁

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ラジオ(電波)と地理(地図)
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