![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/72487443/rectangle_large_type_2_1c59d1884d8b0119321979ae2c029fa5.jpeg?width=1200)
僕は左、あなたは右
同じ映画を観ていたつもりだった。
でも、あなたは僕を見ていたの?
✳︎
異性間での友情は有ると思いますか?
僕の答えは「分からない」です。
そもそも友情って何だろう?と、
あなたを通して考えさせられる。
僕もあなたも悪くない。と思う。
いや、僕が悪いのかな?
だとしたら、僕の浅はかな行動が原因だね。
気付いてあげられなくてごめん。
僕はただ二人で映画を観て、
笑っていたかっただけなのに。
✳︎
僕は大学を卒業してから、
とあるスクールに入学した。
そこであなたと出逢った。
あなたは映画が好きだった。
僕も映画が好きだった。
好きな映画も一緒だった。
好きな映画監督も一緒だった。
感性も感覚も好きも嫌いも、
全部が全部似ていた二人は、
間を置かずして仲良くなった。
夜遅くまでファミレスで、
映画やお笑いの話をした。
その帰りに僕の家で映画を観て過ごす。
あなたの家にも何度も行った。
時にはスクールの反省会をしたり、
時には先生の愚痴を笑って話し合った。
あなたと行った、とある海外料理の店。
もう潰れちゃったらしいよ?
あそこの外国の店員さん、面白かったね。
声を掛けても全然来てくれないのに、
机のベルを鳴らせばすぐに来てくれる。
絶対に声の方が大きいはずなのにね。
あなたが褒めくれた花柄のシャツ。
あれはとうの昔に売っちゃった。
3,000円くらいだったかな?
洋菓子店でした、パフェの早食い競争。
二人で生クリームまみれになった。
僕は顔面をパフェに突っ込み、
あなたは奇声をあげて笑っていたね。
✳︎
でも、僕たちの関係は長続きしなかった。
ちょうど一年くらい経った頃だったね。
僕の家で相変わらず映画を観ていた時、
あなたは突然立ち上がり叫んだ。
「なんで何もないの?」って。
僕は咄嗟のことで訳が分からなかった。
あの時の僕はどんな顔をしていたのかな?
きっとあなたを失望させる顔だったはず。
間もなく僕は何を指しているのか、
薄らと理解していたと思う。
そこまで僕も子どもではないはず。
だけど、「何が?」と返してしまった。
この関係をつい維持したくて、
つい崩れるのが恐くて、そう言ってしまった。
「もうえぇわ!!」
そう言って、あなたは家から飛び出した。
僕は家から出る勇気が出なかった。
家から出てあなたを捕まえても、
きっとあなたの正解にはなれない。
✳︎
風の噂であなたが東京で、
女優業を頑張っていると聞いた。
僕たちが好きな監督の作品にも出たらしいね。
まだ観てないし、今後も観ないと思う。
作品を通してあなたを見ると、
懐かしくてツラくなっちゃうから。
あの時の二人の行動は、
何が正しいか分からない。
ただあなたは東京で成功した。
僕は依然、僕のままだ。
あの時、僕は左へ進んだ。
そしてあなたは右へ進んだ。
きっとこれからも、
あなたと交わることはない道。
僕はその道を人知れず歩いていくよ。
そうだ。
あなたがあの日忘れて帰った、
黒澤明監督の「夢」は今も僕が持ってるよ。
夢のように淡い、
忘れ去りそうな日々よ。
メガッパ