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【実際の出来事からでっち上げた話】 #953



インドで手足がそれぞれ4本の赤ちゃんが生まれた
神の使いかとネットニュースにあがっていました

インドならそういう解釈をする人も多いでしょう

でも実際の話
仮にこの子を崇めたとしよう

彼の名はモティ
病院の先生はそんなに長くは生きられないだろうと話していたし
もし仮に成長したのであれば
普通の人として生活する為に
発育の悪い手足は切断した方が良いと言っていた

彼を産んだお母さんも本心ではそう思っている
けれどもご主人やその家族などが興奮して
この子は絶対に神の使いであると信じ
この状態で育てなければ神からの祟りが起きる
そう信じていた

確かにモティは手足が4本あるが
中身は至って普通の子だ
何も変わりない

だが彼は教祖のように崇められ
特別扱いで育てられた

村の人たちだけでなく
わざわざ遠方より訪ねてくる人々も後をたたない

モティはおとなしい子だったので
ホントは神扱いは嫌だったけど
お父さんやおじいちゃんやおばあちゃんがやらないと悲しむから
仕方なしに従っている

僕の話をちゃんと聞いてくれるのはお母さんだけだった
お母さんはとっても優しいの
信者みたいな人たちや
他の家族が居ない時はいっぱい甘えさせてくれるし抱きしめてくれる

その時が僕は一番幸せだ

僕は足も4本で手も4本だけど
実際に自由が効くのは両方ともに2本ずつ
ただ左手の指は少し不自由なんだ

だから僕は手で食べたりしない
ちゃんと食器を使っている

他の手足はそれなりに動くは動くけど
大した役には立たない


お母さんに教えてもらったけど
お医者さんの言う通り使い物にならない手足は切断したほうが良いと思う
歩きにくいし邪魔だし
何かあってからでは遅いよ


でもお父さんたちは決して許してくれない
僕が神の使いなんだとしてだよ
神の使いの言う事くらい聞いてくれたら良いのに


おばあちゃんなんて毎日毎日お金お金ってブツブツ呪文みたいに言ってる


そんなある日
アメリカ人の医学博士とテレビ局の人が僕に会いに来た
取材したいとお父さんに交渉している

お父さんは最初難色示していたが
出演料の話をしたら
ニコニコ顔になってジャンジャン撮ってくれ
世界中に神の使いである息子を紹介してやってほしいと言った


医学博士の先生は僕やお母さんに優しく話しかけてくれる
僕の手や足の状態も聞いてくれた
それからお母さんが出産した時に病院の先生に言われた事も話をした

そしたら医学博士の先生はあの時のお医者さんが友人のインド人の医学博士に話をしていて
そこから彼の元へと話が伝わった


先生は僕たちだけにそっと言ってくれた
君たちを助けたい
だからこそ
この番組は成功させないといけない

必ず放送するしアメリカで放映した後に必ずあなた方を迎えに来ます

そう約束してくれた


博士が帰って数ヶ月後
インドとパキスタンの関係が急展悪化して戦争状態になってしまった
この為
インドにある各国の大使館の人たちや民間人は帰国した

医学博士の先生は絶対に来れない


僕は諦めた
インドに生まれなきゃ良かったのに

彼の家と彼の家族と彼は空爆で跡形も無く木っ端みじんにされてしまった

晩年13歳



ほな!

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