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【君が見る太陽と僕が見る太陽は違う】 #707


灼熱が降り注ぎ大した作物も育たない
人食いライオンが時々村を襲う
家畜の牛が被害遭うこともしばしば
水場までは1キロ近くの道のり
獲物を捕まえる為にサバンナを進む男たち
好戦的な部族との衝突もたまにではあるが出会う
近代化に取り残された少数派民族
それでもこの地から離れず
貧困や病気と戦いながら生きる


夏でも最高気温が10数度で酸素も薄い
急斜面にくっつくように建てられた集合住宅
放牧をしてヤギのミルクからチーズを作り2時間かけて下りた集落で麦や野菜と交換してまた2時間かけて自分たちの家へと戻る
若い者は村を捨てて街へと出て行くから集落にはジジババしか残っていない
それでもこの地から離れず
細々と生きる


密林のジャングルの奥地
年間の8割が雨
集落の中を幾重にも小さな川が流れる
主な食料は山の中で採れる幸と狩猟による動物や川で採れる魚
これだけ聞くと豊かそうに見えるが年中振る雨のせいで常に危険と隣り合わせである
一番最寄りの街までは5時間ジャングルを歩きそこからバスに乗り3時間かかる
ひとたび病気にでもなっても救急車もレンジャーも来ない
常に死と隣り合わせ
それでもこの土地から離れず
たくましく生きる


常に部族間でトラブルが発生する土地
常に宗教宗派の違いでトラブルが発生する土地
常に土地の利権でトラブルが発生する土地



「お母さん
あれ買ってよ」

「駄目よ先月もゲームソフト買ってあげたばかりでしょ
我慢しなさい」

「そんなのズルいよ
お母さんだって先月も今月もいっぱいお洋服買ってるじゃないか」

「もぉしょうがないわね
お兄ちゃんには内緒よ
どれが良いの」

「これこれ
これが欲しいんだよ
今学校でスッゲェ流行ってんだよ」

「何なのこのゲーム」

「これはねぇ
世界中の貧しい所をどうやって救い出すかっていうシュミレーションゲームなんだよ」

「へぇー
そんなゲームが今はあるんだぁ」

「そうだよ
ネットで協力しながら時には敵と戦ったりもするんだよ」

「お母さんにはよく分からないわ
それいくらなの?」

「えっとねぇ…7,500円って書いてある」

「いい値段するわねぇ毎回毎回
分かったわハイこれで買ってらっしゃい」

「ありがとう」

この小学生の男の子はゲームソフトを買ってもらった後
お母さんと一緒にショッピングモール内のイタリアンに行ってパスタのランチを食べた
午後はお母さんの買い物の付き合いと晩ご飯の食材を買って家に帰った

家は閑静な住宅街で広めの庭もあった
この家は一級建築士のお父さんの自慢の設計だ
この家族は日照りも貧困もテロも差別も何も起こらない
幸せな毎日しか無い





ほな!

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