#2.ロンドンの夜、デロリアンが舞台に現れた
「ロンドンの夜、デロリアンと一緒にタイムスリップしてきた」
ロンドンの街は、不思議。
ソーホーの通りを歩いていると、劇場のライトがどこからともなく目に飛び込んでくる。「ミュージカルを観ないなんてもったいないよ」と誰かが囁いてるみたいな気がしてくる。
そんな気分に誘われるまま、選んだのが「バックトゥーザフューチャー」。
選んだ理由はちょっとミーハー。
映画が好きだし、話も知ってるから安心して楽しめるだろうな、って。でも、この選択が自分のエンタメ人生を更新する体験になるなんて。
劇場に入ると、もうそこは“映画の世界”。
幕の真ん中にはBACK TO THE FUTUREのロゴと張り巡らされた電線。中には、あの伝説のデロリアンがスタンバイしてるんだろう。座ったのは2階席の前方。舞台全体が見渡せるベストポジション。
ショーが始まると、瞬時に引き込まれた。キャラクターが舞台を駆け回り、音楽が観客を包み込む。デロリアンが舞台の上を駆け抜けるたびに会場全体が興奮の渦に飲み込まれる。煙がシュッと吹き上がり、光と音楽が一体となって、まるでタイムマシンが本当に時空を越えているかのようだった。
全編英語なのに、全然問題ない。
だって、パフォーマンスが伝えたいことを全身で語ってくれるから。笑い声が自然と出るシーンや、胸が締め付けられるソロの歌…。
でも本当に圧巻だったのは、最後の群舞。
キャスト全員が舞台に揃い、歌い、踊り、感動が頂点に達する瞬間。ステージから溢れ出すエネルギーが、観客席の隅々まで染み渡った。
そして驚いたのが、イギリスのミュージカル文化。
途中で30分ぐらいの休憩が入るんだけど、その時劇場内のバーがあってお酒が飲める。
観客たちはワインやビール片手にリラックスして、感想を語り合ったり笑ったりしてるのが、すごく“ロンドンらしい”と。
舞台を楽しむって、こういう空間ごと味わうことなんだなって感じさせられた。
休憩後、物語はさらにヒートアップ。
タイムスリップの最後のシーンでは、全員が拍手喝采。あの瞬間、観客も一つのショーの一部になってた。
本当の主役は“私たち”。観終わったあと気づいた。
「バックトゥーザフューチャー」のミュージカルが、こんなに最高だった理由は、ステージの上だけじゃなかった。観客全員が“主役”になっていたからだった。
観客が心から楽しむことで、舞台がより輝く。
手拍子、笑い声、息を飲む音…それら全部が一体となって、あの夜だけの特別なエンタメ空間が生まれてた。
ミュージカルって観るものじゃない。“一緒に作るもの”だって気づかされた。
そして、
それって人生にも通じると思う。
自分が全力で楽しめば、どんな日常だって特別なショーに変えられる。
ロンドンの夜が教えてくれたのは、そういうことだった。
ちなみに、
2025年から日本でも劇団四季がバックトゥーザフューチャーのミュージカルをすることが決まっているらしい。
次回予告:レミゼラブルからマンマミーアまで。ロンドンの“エンタメ天国”を満喫
次回は、今回に引き続き、ミュージカル。ミュージカル文化がくれるワクワク感を。ぜひ楽しみにしててください。
レイチェル