夏の上がり馬 通信簿
先週末の菊花賞も無事終了し、これで今年の3歳クラシック戦線が完結しましたね。
7月の下旬、レイパパレが2勝クラスの条件戦を勝った時に「夏の3歳上がり馬を評価する」という記事をアップしていたこともあるので、このタイミングで夏の上がり馬が秋華賞、菊花賞でどのような成績を残したのかを簡単に振り返っておこうと思います。
まずは、秋華賞から。勝ったのは、春の総大将デアリングタクト。2着は春の善戦組からマジックキャッスル、そして3着に上がり馬ソフトフルートが喰い込むという結果になりました。
春の時点での力関係は、デアリングタクトが抜けた存在で、ちょっと離れてレシステンシア。その他の馬は、能力的にかなり離されている印象もありましたね。こんな年は、秋華賞で夏の上がり馬が台頭してくるパターンが多いのですが、大将格であったレイパパレが痛恨の抽選漏れとなった中でも、ソフトフルートが3着に喰い込んできて、4着パラスアテナともどもよく健闘していたと思います。
ここでソフトフルートの臨戦過程を振り返ってみると、中京で行われた2勝クラスの夕月特別で、前残りの展開の中、大外から一頭だけ違う脚で伸びてきての圧勝。相手が軽かったことを考慮しても、「夏の3歳上がり馬を評価する」の中で触れたマンハッタンカフェパターンに近いものはありました。実際、ローズSに当てはめても2着相当のタイムでは走っていましたらら、一定程度、好走の裏付けはあったと言えるでしょう。
本番では、かなり展開に恵まれて差し込んできたところもありましたが、それでも基礎的な能力が足りていたからこその好走。そういう意味では、展開の読みさえピタリと当てていれば、十分に買うだけの根拠があった馬だったと言えそうです。
ちなみに、もしレイパパレが秋華賞に出走できていたら、デアリングタクトを負かしていた可能性も十分だったでしょう。7月の時点で、あそこまで極端な外伸び馬場になることまでは予見できませんでしたが、ある程度、本番でも通用する可能性があることに言及できていたということは、評価のさじ加減が間違っていなかったことの証しではあると思います。
続いて、菊花賞。勝ったのは、春の総大将コントレイル。2着には上がり馬のアリストテレスが喰い込み、3着は春の善戦馬サトノフラッグが死守するという結果になりました。
男馬に関しては、春はコントレイルとサリオスが他馬を大きく引き離すという力関係になっていて、サリオスが適距離を求めて菊花賞を回避する中、実質的にはコントレイルの1強状態となっていました。ただし、コントレイルにとっての菊花賞は、決して適条件のレースではありませんでしたし、春の善戦組も今ひとつパンチ力に欠ける中で、上がり馬のアリストテレスが僅差の2着に好走したのは必然の出来事であったと言ってもいいのでしょう。
もし、このアリストテレスを「夏の3歳上がり馬を評価する」の中で触れた馬に例えるなら、メジロマックイーンパターンにもっとも近かったのかなとも思います。
なんせ、アリストテレスがステップとした小牧特別は、かなりのハイレベルだったと思うのですよね。このレースで0秒2差の3着だったヒートオンビートは、菊花賞当日の鳴滝特別を好時計で快勝。「たら・れば」を言えばですが、ヒートオンビートが菊花賞に出走していれば、少なく見積もっても差のない3着には好走できたはずです。
すなわち、この小牧特別が超ハイレベルレースであったことに気づけたとすれば、菊花賞の馬券を的中させることは、それほど難しくはなかったはず。ルメールJ騎乗にもかかわらずアリストテレスがやや離れた4番人気だったのは、明らかな過小評価だったと思います。
ちなみに小牧特別の2着馬フライライクバードは、ヒートオンビートが勝った鳴滝特別で4着に敗れていますが、僅差でしたし、馬体減、勝負どころから外を回った分など、仕方のない敗戦だったと思います。この馬とて、立て直して日経新春杯あたりに出てくれば、現状の力でも十分に勝ち負けできそうな予感はありますから、小牧特別が今年の重要なポイントレースであったことは間違いないでしょう。
夏の3歳上がり馬を評価する目安を知っているだけでも、競馬がさらに楽しく感じられるはず。是非、皆さんにもnoteの記事を参考にしていただきながら、今年のクラシック戦線を振り返っていただき、来年以降の馬券戦略に生かしていただけたらと思います。
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