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朝日杯FSの見どころ


明日は、阪神競馬場で朝日杯フューチュリティステークスが行われます。

人気はずいぶんと偏ったなあという印象もありますが、実力伯仲のメンバー構成ではあるので、大衆に迎合することなく、いつもどおりのマイスタイルでレースの見どころを解説していこうと思います。


まず、阪神の芝コースですが、先週と同様に、スピードとパワーの両面が求められる馬場になっているような気がします。先週よりは若干時計がかかっている印象もありますが、その点は、あまり神経質にならなくてもいいでしょう。トラックバイアスに関しては、スローなら内有利、流れれば外有利という感じでしたから、基本的にはフラットな条件になっていると考えて良さそうですね。

このレース、未対戦の組み合わせが多く、能力比較が難しい部分もありますし、展開的にも、これという逃げ馬がいない中で、道中の位置取りをどう読むかも実に悩ましい。ただ、阪神のマイルで馬場に極端な偏りやクセがないとなれば、基本は能力重視のスタンスでいくのが得策かなと思います。


ではここから、このレース条件に特化して、各馬の能力を比較をしていくことにしましょう。

まずは、レコード決着となったデイリー杯2歳S組から。このレース、レコード決着にはなりましたが、時計の価値という意味では、ギリギリ、中の上くらいの評価になります。

勝ったレッドベルオーブは、道中、掛かり気味の追走から、直線でインに潜り込んでの差し切り勝ち。スムーズなレースができなかった中でも、しっかりと勝ち切ったことは評価できます。ただし、当時は超高速馬場だったからこそ、掛かってもなんとか勝ち切れたという見方もできますし、急にこのレースでピタリと折り合えるとも思えない点は、大きな不安材料であるとも言えます。

その点、2着のホウオウアマゾンは、先行力があって折り合いに不安がない点は大きな武器になるでしょう。ただし、完璧なレース運びをしてもレッドベルオーブに差されたわけですし、デビュー戦で、後に新潟2歳Sで3着となったフラーズダルムに千切られたのも事実なんですよね。崩れるイメージはあまりないけど、スケール感ひと息という印象も否めません。

3着スーパーホープは、当時の回顧記事でも書いたとおり、未勝利戦でのホウオウアマゾンとの差はまったく変わらず。必ずひと脚は使えるけれど、どうにもパンチ力が不足しているのもまた事実でしょう。

実際、7月の阪神では、ホウオウアマゾンとスーパーホープは、いわば脇役でしかなかったわけで、その2頭に先着したことだけをもってして、レッドベルオーブが圧倒的に強いというのも個人的にはどうかなと思っているのですよね。


次は、サウジアラビアロイヤルカップ組。「組」って言ったって、対象はステラヴェローチェだけ。馬っぷりの良さが際立っているのは確かでも、他馬との能力比較が難しいのは事実でしょう。ただ、あの日の東京の芝コースは、最後方からの直線一気が3回も決まった、数年に一度あるかないかの特殊な馬場でもありました。見た目は鮮やかだったステラヴェローチェの勝ちっぷりですが、トラックバイアスが完璧に噛み合った結果とも言えるのですよね。

当時2着のインフィナイトは、先週の阪神ジュベナイルフィリーズで見せ場なく凡走する結果となりましたし、3着セイウンダイモスは、新潟2歳Sで平凡な内容の6着からの巻き返しでした。そう考えると、馬っぷりの良さ以外は、ステラヴェローチェに高い評価を与える根拠がないのですよね。どうせ、ここも後方からのレースになるでしょうし、直線で10秒台の脚を使って差し切るシーンは想像するのはかなり難しい。なのでこの馬は、ズバッと消しでいいと思います。


今度は、京王杯2歳S組。勝ったモントライゼは小倉2歳S2着から、2着のロードマックスは新潟2歳S7着からの巻き返し。レースレベル的に、高い評価をするのはどうかなと思いますね。モントライゼのセンスの良い走りはここでも武器になると思いますが、逆の見方をすれば、馬のスケールでは完全に見劣りしているとも言えるので、頑張っても掲示板くらいの評価が妥当かなと思います。

こうやって考えてみると、今年は、新潟2歳S組が侮れないのではないかということに気づきます。勝ち馬ショックアクションは、内容的にも完勝でしたし、先行してひと脚使える安定したレースぶりも魅力。この馬を含め、新馬戦で先行争いをして失速した3頭で、ここまで延べ5勝を挙げていることに鑑みれば、阪神コースが合わないということはないでしょう。中間一頓挫あった点を考慮すると、勝ち負け必至とまでは言いませんが、上位争いに絡んでくる一頭にはなるんじゃないかなと思います。


最後に、未勝利戦を好時計勝ちしたグレナディアガーズ、2戦2勝のドゥラモンド、札幌2歳S3着のバスラットレオン、萩ステークス2着のジュンブルースカイにも触れておきましょう。

個人的な見解として、グレナディアガーズは優秀なスプリンターなんですよね。能力は重賞級だと思うのですが、阪神のマイルでは、直線で息切れして手応えほど伸びないレースになってしまいそうです。

ドゥラモンドは、ここ2走で戦った相手がいかにも軽かったですからね。いくら勝ちっぷりに見どころがあったと言っても、前走から、あと3段階くらいは急上昇しない限り、ここで勝負になるイメージは湧きません。前売り3番人気みたいですが、とてもじゃないけど馬券を買う気には……。

いきなりですけど、実は、ここで真打登場。僕は、普通に考えてバスラットレオン本命でいいと思うのですよね。札幌2歳Sの1,2着馬は、先週の阪神ジュベナイルフィリーズで1,3着。しかも、当時のバスラットレオンは、激流に巻き込まれてかなり苦しい競馬を強いられていましたから、非常に価値がある3着だったと思います。この馬、これまでのラップ推移を見ても明らかなとおり、しっかりと脚を溜めたほうが良さが生きるのは間違いありません。また、寸が詰まっていて背が低い体型を見ても、マイルで差す競馬をしてこそ本領発揮となるはず。記録的な裏付けがあって、レース条件も大きく好転するここは、はっきり狙わない手はないのだろうと考えます。

ジュンブルースカイは、萩Sでシュヴァリエローズの2着。そのシュヴァリエローズは、新潟2歳S5着からの巻き返しなので、ショックアクションとの比較上、やや劣勢と考えざるを得ないですね。


まとめると、中心は⑪バスラットレオン。人気的には、ずいぶんと甘く見られているようですが、うまくレースの流れに乗れれば、普通に勝ち負けしてくると踏んでいいのではないでしょうか。

これに続くのが、④ショックアクション。体調面さえまともなら、上位争いに喰い込んでくる可能性は高いと思います。

そのあとに、デイリー杯2歳S組の2頭、⑧レッドベルオーブ⑬ホウオウアマゾンとなります。レッドベルオーブは、うまく脚が溜まれば快勝まであるけれど、折り合いを欠いて伸び切れずに馬券圏外の可能性も十分。その点、ホウオウアマゾンは大崩れはしないだろうけれど、勝ち切るシーンまでは想像しづらいというイメージになります。

う~ん、さすがに自信満々とはいかないのですが、シンプルな比較で最上位になった馬が、前売り単勝30倍台って、なかなかあるもんじゃないと思うのですよね。結果はどうなるかわからないけれど、見どころ解説としては、なかなか面白い内容になったかなと……。

いずれにしても、来年につながるような見応えのあるレースになってくれることを祈りつつ、明日のレースを楽しめればいいなと思います。

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