#166 権力格差の偽リーダーシップを自己統制する 24/5/10
みなさん、こんにちは。
今日は、リーダーシップについて考えます。
新年度が始まり、あたらしく課長、部長など役職任用された人も多くいます。そのあたらしいミドルマネージャーの仕事の一面を見たときに、ふと感じたことが考えるきっかけです。
(実例を基に編集しています)
事業責任者ポストに任用された人がいます。これまでは、たとえば従業員に関する人事ごとについては、人事部門のわたしたちに助言を求めてくれる機会が多く、その助言や時に忠告を自身の判断に取り入れるケースが多かった人がいます。
それが、事業責任者とその部門のトップ、権力格差の1番上に立ったそのときから、急に変わりました。
たとえば、「退職引き留めに関する取り組みはAではなくBに切り替える」と強い意志を表明しました。
人事部門から「そうはいっても、まだAの課題ステージだと考えます」と投げかけをしても、「いや、私はこう決めた」とこれまでとは打って変わって、聞き耳を持たなくなりました。
ここまで極端な例は多くありませんし、この責任者がすべての課題テーマに対して聞く耳を持たぬ姿勢になっているかは、まだ測りかねます。がしかし、ポジションが上になると、こうした態度や判断、意思決定スタンスの急変が起こり得るものだな、と感じました。
これはなぜ起こるのか考察してみます。
1つは、単純にポジションパワーを得て、自分が偉くなったかのように錯覚を起こしてしまうことです。
それは、誰しもにポジションを得た人は、多かれ少なかれやってしまうことと考えます。たとえば、メンバーの給与を決めることができます。異動・配置の人事権を行使することができます。そうすると、自分にパワーがあると錯覚してしまう可能性が高くなります。わたしもわたしもそうだったな、と振り返ると反省することがありました。
2つ目には、1つ目の加速した形ですが、ポジションの高さを誇示したくなってしまう心理構造と考えます。
誇示したい、とまでは明確な意思になっていないことも間々あります。しかしながら、どこかで権力格差を表出させて、自己顕示欲を満たすインセンティブが働くのではないか、と考えます。たとえば、1日の予定が自然と埋まることがあります。それによって、忙しいアピールをする、役職者しか召集されない会議に呼ばれることのアピール、こうしたことも自己顕示欲の1つだと考えています。
3つ目には、責任感の強さからくるものです。
責任者、ポジションが高くなればなるほど、その管掌範囲に対する自分ごとに捉えるスタンスが強化されます。ですから、最後は自分が決めなければならない、判断すべきだ、と自分ごとが強くなります。役職に求められる期待や責任を果たそうと、自分を奮い立たせる、セルフマネジメントの1つの現れ方だと考えます。
このように、「人」の性質、心理的作用や脳の構造によって、役職、ポジションパワーがもたらす影響は良くも悪くも二面性を持ちながら表出されます。そうなると、その影響力はリーダーシップのあり様が変わってくるともいえますから、否が応でも、これまで同じ立ち位置にいたチームメンバーとのかかわり方にも変化が起きます。
近ければ近くにいた人ほど、「(良くも悪くも)あの人、ちょっと変わったね」と捉えられます。とくに、ネガティブな場合には要注意で、内省して自分を捉えておくこと、あるいはフィードバックをしてくれる人をあらかじめ設置して、マネージメントを効かせる対策を設けておくとよいと考えます。
さて、みなさんは自分が役職やポストを得たとき、権力格差に対してどんな事前防御対策をされていますか。
それでは、また。