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#265 500名のベクトルを合わせるオフサイトミーティングの難所 24/11/6

こんにちは。
今日は、ベクトルあわせをテーマに考えてみます。

(実例を基に編集しています)
半年ほど前に、新たな経営方針や戦略を、経営陣がミドルマネージメント層に共有する場がありました。オフサイトミーティング、ワークショップ的な意味合いの場です。

その時点で、当社には500名ほどのミドルマネージメントの役割を担う人たちがいます。そのキックオフミーティングの半年ほど前に、事業・組織編成に割と大きな変化方針が打ち出されました。その時期が近付いてきたこともあっての決起的な場であり、企業方針・経営戦略を経営陣から共有する場との位置づけでした。

その性質上、方針や戦略そのものの情報コンテンツはある程度の抽象度の高さであることは避けられません。ですから、その500人が一堂に集まる場をどのような場にデザインするか、繊細さも求められます。その会は、経営陣の中の1名が司会進行役として、立っていました。その専門家ではなく、社内コミュニケーション的な機能組織を預かっている人です。

ミドルマネージメント500人が、方針や戦略を咀嚼するために、いくつかのワークや経営陣との質疑応答が設けられています。よくあるスタンダードなチームビルディングのワーク形式です。

このワークにおける問いの1つが、
「経営方針を聞いて、あなたはどんなことに取り組みたいと思いましたか。またあなたが今自分ができることはどんなことですか」でした。

これもよくあるお題です。
わたしは人事部門で研修や会議のファシリテーターとして立つ場面も多いですから、気になってしまいます。このよくある課題≒問いは、何となくそれっぽく思考して終わることが95%くらいではないかと考えます。

まず個人ワークでアウトプットして、そのあとにテーブルなど今日一緒に受講している人同士でそれぞれのアウトプットを共有する。そして、テーブルでの総括的まとめを行なう。

ここでは、教科書的模範解答をしてしまうことが多いでしょう。わたしも時々思考停止して、そのような規定演技を実行してしまうこともあります。たとえば、労働人口減少の社会現象に対して、デジタル・DXを進める、などです。有り体のアウトプットです。抽象度が高いから誰も反対しない、課題が大きすぎて自分がそれに取り組む現実的アクションがみえづらい、そもそも本気で心のうちからそう思っているかはやや疑問、などそれっぽく思考する、です。ありきたりな感想です。

もっといえば、おそらく経営方針等の情報を聞く前から、デジタル化を進めたいなど、すでに分かっていたと想像します。本来なら、情報を聞く前と聞いた後を比べて、情報量やその中身についての解像度、自分の理解の何が違うか、を認識する必要があります。その違いの認識に基づき、自分は○○に取り組みたい、と思考するなら良いと考えます。

もう一段考察すると、そもそもの課題テーマ、問いから、見直すことが、聞き手のアウトプットや認識をより高めることになると考えます。
たとえば、事業再編等によって、経営方針・戦略が良い意味で変わる、更新される、とすれば、今までの会社の前提、ハビットや習慣的ルーティンの何を捨てるのか、アンラーンすることは何か、を問いの設定にしてみる、です。

すると、異なるバックグラウンドを持つミドルマネージメント500名の相互理解もより高まり、経営戦略の自分なりの咀嚼度合いも上がり、結果、この場も意味ある場になった、となります。

このような意味において、多くの人の前提をそろえる、ベクトルを合わせるには、良い問いが不可欠と改めて考え直しました。

それでは、また。

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