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#236 人事制度や施策の運用には揺り戻しがある 24/8/30

こんにちは。
今日は、人事の取り組みや施策の揺り戻し、を考えます。

(実例を基に編集しています)
考えるきっかけになったのは、事業部門長と従業員の評価とその報酬について、意見交換をした時の話です。今後の人事制度(ここでは特に評価と報酬制度を指す)のチューニングポイントについて発散的に話しをしました。

具体的には、マネージメント職と専門職のそれぞれを、かつ相対的に、どのように処遇していくのか、です。

ここ5~6年ほどは、各事業領域の専門知識に長けたスペシャリストを高く評価してきた実態があります。それには、既存事業領域において、その分野の専門性やその知見の価値が高まってきたことと、新しい事業領域において、知見を身につけているスペシャリストを中心にその価値を評価してきたことによります。マーケット形成がされていない中、自分たちのものさしをつくる必要性があったと言ってもよいかもしれません。

一方、マネージメント職は、ある程度マーケットにおける価値と成り手の少ない稀少性的な社内価値の高まりがあり、相応程度には処遇してきました。

しかしながら、管理職になりたい人が少なくなってきている労働市場における全体的なトレンドや、ビジネスの成長と経営と現場のインターフェースをになるキーパーソンとしての処遇をさらに見直してもよいのではないかとの見方が、わたしにも事業部門長にも問題意識として芽生え、それはますます強くなってきたところです。

前置きが長くなりました。

スペシャリスト職の価値を上げていこうと5~6年前に舵を切った背景の1つは、従業員の狭義のキャリアに関する声からです。よくいわれる「管理職にならないと給料が上がらない」です。当社の人事制度では、マネージメント職も、そうでない職制も、年収による制限はありません。同じ等級格付けであれば、同じ年収帯での処遇になるよう報酬制度の設計もなされています。

それでもなお、「管理職にならないと」との声が多いのは、やはりじゅうぎょういんから見たときの管理職とスペシャリスト職の見え方が大きいように感じます。見え方は、組織図に表れる、役職名の有無、それに伴う各種の社内システム・ツールでの表記、社内報での取り扱われ方などが挙げられます。スペシャリストの良い意味の権威を目にするちょっとした場所において、管理職に比べるとツチノコ度合いが強いことが、印象として「管理職にならないと」との声につながっていると考えます。

それを払しょくするために、ある分野の知見を高く評価し、その従業員を金銭的報酬面で、好待遇にしてきました。採用市場における価格の上昇も輪をかけて、スペシャリストの処遇を意図的に上げてきました。

一方、そのスペシャリティをもった職群の従業員は、その専門性が必要なプロジェクトをリーディングできるかといえば、実はあまりできません。知見だけでは、アドバイザーとして同じ専門家たちの間での会話はできるものの、プロジェクト進行においては批評・批判はできるものの、実行の推進エンジンにはならないケースが多く見受けられます。

専門知識だけでは、現実は動かないことのほうが多いのが真理だからです。

そこで、現場を動かすキーパーソンは、やっぱりマネージメント職、とりわけ当社でいえば課長職である、と考えをアップデートしました。課長は仕事がもっとも集まるポジションなので、大変に不可も多いのです。その条件下においても、顧客、所属事業部門、従業員、多くの方面にバランスを持って責任と役割を果たすことが求められます。

ですから、マネージメント職の価値を再度見直そうと、人事制度運用と今後の制度設計に反映していくことを意見交換し確認しました。

このように、人事の制度も取り組みも、数年おきに揺り戻しがあります。1度決めたらそれが絶対である、にはなりえません。

さて、みなさんの会社のしくみでは、どのような揺り戻しに問題意識を持たれますか。
それでは、また。

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