#259 新卒採用に表れる事業責任者の想いと価値観 24/10/23
こんにちは。
今日は、アンラーニング(学習棄却、学びほぐし)を考えます。
(実例を基に編集しています)
半年ほど前のできごとです。ある事業部門の責任者Aさんが、失敗談を共有してくれました。コーポレート部門との定例会議の中で、Aさんが感情に任せて怒りを爆発させてしまったそうです。話の顛末はこうです。
コーポレート部門から、翌年度入社の新卒社員配属について提案がありました。これまでは入社後研修の様子を見て、1人1人と面談をして、希望と適性をできる限り把握しながら、配属案を作成していました。その意思決定プロセスを変更したいと、採用部門からの相談だったようです。大きく変わる点は、入社後に配属案を策定するのではなく、入社前にどの事業部門に配属するかを決定し、新卒社員に通知する点です。背景は割愛しますが、物量的なことやスケジュール的なことなど、ムリが生じてしまうことだそうです。
この提案に、事業部長Aさんは「琴線に触れてしまった」と話してくれました。その瞬間は、「反射的に怒ってしまい、声を荒げてしまった」とも振り返っていました。Aさんは、新卒入社者として入ってくる社員については「人一倍に思い入れがある」そうです。
ご自身の価値観として、人材育成において大事なのは「自分のやりたいことに手を挙げる。そして上司はそれを叶える」ことと置いているからです。これまでは、入社後人事部門が面談なりをして、新卒入社者の希望をある程度汲み取る行為があり、そのプロセスを気に入っていたそうです。
しかしながら、今回の提案は、そのAさんにとって最も大事にしているともいえる要素がなくなってしまう内容であったため、「琴線に触れて」しまったのです。
私はその話を打ち明けてもらって、その感情もわかるなと思いつつも、一方でやや独りよがりな側面もあるな、と聞いていました。そのことも、聞かれたので、率直にわたしの感想としてお伝えしました。
というのは、おそらく採用部門も、そのプロセスを何とか維持したい考えも持ちながら、現実的な選択として変更を余儀なくされた、と想像するからです。彼ら彼女らも、おそらく葛藤を抱えつつも、オルタナティブな提案を作ったのだと想像できました。
その部分にも想像を巡らせ、いったん相手の提案や相談を受容すること、ここがAさんはできなかったのだと思います。大事な価値観に触れる部分であったことも強く作用して、感情的に反応してしまったのだと考えます。
それでもなお、立場的にも、その反応の仕方にも、相手方の採用部門担当者たちにとっては、受け入れがたい行為として、しこりを残してしまったように感じます。
自分の持っている価値観や考え、前提は当然に他者とは異なります。違いがあって当たり前、もはや言うまでもありません。そこに想像のアンテナを立てながら、他者とのコミュニケーションを図るとともに、自分自身のその考えの枠組みとなる規範、前提を積極的にアンラーンしていくことの大切さを、このAさんの振り返りは教えてくれたように感じます。
さて、みなさんは、定期的にアンラーニング、学び直しをされていますか。
それでは、また。