#106 現地・現物・現実を見て身体的体験をつくる【震災復興】24/3/11
みなさん、こんにちは。
今日は、少しいつもの人事の仕事から見える題材とは異なるテイストです。#1のアート紀行以来の旅行からの考えたことを整理してみます。
昨年、東日本大震災の被災地、福島原発周辺を訪れたことからの学びです。
東日本大震災から12年。
南相馬から南下し、福島原発に近い、双葉町、浪江町、大熊町、富岡町を訪れました。
震災以後、福島市中心部には参ったことがありますが、海岸沿いは初めてです。
2011年は私にとっても転機であり、それを決めた3月に時を同じくして震災が発生しました。
現地を見ることによって得られる情報、そこから感じること、メディアの情報から考えることとは、圧倒的に違いました。
畢竟、三現主義*とはよく言ったものです。
(*現場、現物、現実を重視し問題解決を図ることです)
最新では、2023年3月~4月に帰宅困難地域の解除がなされ、かなり広範に立ち入りエリアが広がったようです。
23年7月には福島県産の農作物の欧州輸入規制が解かれました。
ALPS処理水の海洋放出も、一部中国などから反対がされているものの、進んでいます。
まず、原発付近四町の、いわゆる復興、とりわけ新たな産業が生まれることは、ほとんど進んでいないのだな、が実感です。
ドローンの実証実験や飛行場?など、
ロボットテストフィールドのような、新しい事業は一部進んでいます。23年4月には、F-REI(エフレイ、福島、リサーチ、エドゥケーション、イノベーションの略)プロジェクトと命名されたようです。
にわか知識では、もっと農業があるのかな?と想像していました。
意外に田畑は少なかったです(津波によって失ったのかもしれません)。
今回訪れた原子力災害伝承館では、畜産業の存在を見ることができたので、
それが1つの産業だったのかもしれません。
原子力災害伝承館では、語り部さんとお話ができました。
夏季休暇期間中のため、通常の個別アテンド型ではなく、
館内閲覧後、別部屋で希望者を対象に語りを聞いたり、質問する形式でした。
内容はご自身で聞かれる方がいいと思います。
ぜひ行かれた際にどうぞ。
次に、伝承館からすぐ近くの浪江町請戸小を訪れました。
現在浪江町請戸小跡地は、震災遺構としてその姿を残し見学することができます(入館料大人一人300円)。
先生、生徒が、小高い丘(大平山)に向かって津波から逃げた、
と報道がよくなされていた小学校です。
全員が命を落とすことなかったことは本当に何よりです。
津波の高さは、小学校の2階までの高さになったと看板標識が掲示されています。
この高さに、海水が流れ込んできたと想像すると、映像を見て感じていたことが、
いかに他人事として見ていたのか、痛感しました。
訪れた日は、海がしけていたこともあり、少し波が高く、岸壁に打ち寄せていました。
その音、高さを目の当たりに、いかに津波が恐ろしいものだったのか、
それだけでも痛み入ることができました。
さらに国道6号線沿いに大熊町へと南下しました。
訪れたのは、中間貯蔵施設とリプルンふくしま。
放射性物質等に汚染された特定廃棄物等を貯蔵・処分する施設です。
放射性物質を除去した後の土や樹木など、汚染除去物質を処分する。
ちょうどALPS処理水の放出が言われた時期ですが、この汚染除去のシステムを知れば、こんなに幾重にも汚染除去をしているのならば、危険リスクはかなり低いことが事実ベースで理解できると考えます。実際に、日常生活から出るべクレル量よりも汚染分室の含有率は少ないレベルまで落とせることを知りました。
福島を訪れたのは、夏でしたが、また定期的に現地を見たいと感じました。
三現主義とはよく言ったもので、現場、現物、現実を自分の身体的体験として得ることで、メディア等で知る情報とは圧倒的に異なる質量の情報を得ることができます。そして、得た情報から自分なりに感じたことを整理してアウトプットすることが学びにつながります。そのことを、あらためて見直す原体験になりました。
みなさんは、五感で感じる体験をどのように作っていますか。
それでは、また。