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#228 人材配置は組み合わせのアートである 24/8/12

こんにちは。
今日は、人材配置を考えてみます。

わたしが15年ほど前にはじめて人事職に就いて任された仕事は、従業員の異動・配置でした。それも、ミドルマネージメント職や重要ポストの配置など、一般に人事部門が経営陣と一緒になって動かすところよりも、現場のど真ん中、日常的な異動や配置でした。そこに人事の立場から、ライン組織に対して、手と首を突っ込んでイニシアティブをとるミッションでした。

その背景には、ライン長に人事配置権を全権委任していたことで、ビジネス都合による異動・配置に行き過ぎたとの問題意識が当時の事業部長にありました。それによって、従業員の離職が高止まり、離職予備軍も相当に含み損として見られる、今でいうところのエンゲージメントが低い状態を引き起こしていました。これを解消するために、従業員の発達課題にあった異動や、キャリア開発基点での配置を進め、事業成長や従業員のモチベーション向上にベクトルを向かわせようとの狙いでした。

それをスタートに、わたしは以降7~8年ほど、この異動・配置を主導する役割を担いました。おそらく費やした時間は10,000時間以上、俗にいわれる1万時間の法則にも類するくらいに異動・配置の仕事に携わりました。

経験から得られた学びはいくつもあります。
その中の1つに「『配置』は組み合わせである」がわたしの持論として形成されました。

これは事後的に学習した持論です。年間数百名の異動・配置をライン組織の部門長、課長と協議して、ときに議論や感情を戦わせながら進めてきました。

その中で、わたしが意識して配置の判断材料にしていたのが、異動・配置先のチームおよびチームリーダーと、入社者や異動対象者との組み合わせでした。

それはチームにかけているピース、つまりポジションが生まれた理由や現在のチーム編成上の課題が1つ目の要素です。もう1つが、そのチームのリーダーと対象者の相性です。相性とは、雰囲気的なものではなく、その対象者の発達課題と、そのチームリーダーの育成スキル=成長支援に関わる得意分野を指しています。簡単に言うと、どんなリーダーのチームに配置すると、その対象者が最も活躍できるか、です。その結果、成長できるからです。

それを洞察するためには、チームリーダー、配置対象者双方の特徴やプロフィールを相当に自分の中に取り込みました。もう一方で、そのポジションの職務内容と、そのポストやチームが提供する顧客への価値=ビジネスニーズを捉えることを怠りませんでした。人事担当者は、前者の従業員情報については把握し理解しようとしている人は多いです。一方で、ビジネスサイドのポジション理解が欠けているケースが多く、偏りが大きいなと感じています。

ですから、再度メタ認知をすると、大きく三者の「組み合わせ」を考えて、異動・配置プランを立て、実行していたと考えます。なぜ組み合わせなのか、と言えば、どんな環境・条件下でも、常に100のパフォーマンスを発揮できる人はほとんどいないからです。

三者とは、配置対象者、配置先の組織リーダー、それを管掌する部門長や課長(を通じた顧客ニーズ)の3つです。この環境条件の組み合わせが、従業員の異動・配置プランを立てる必要十分条件だったと、振り返って学びになっていることです。

配置対象者のプロファイル、一番は発達課題です。言い換えると得意技と、次の成長テーマは何か。

配属先の組織リーダー、一番はそのリーダーの特徴です。これも、得意技と発達課題です。なぜならば、それが育成・成長支援の仕方にも現れるからです。

部門長や課長のニーズ、これは言い換えるとビジネスニーズです。顧客の課題に続く要素です。そのチームは、どのような顧客ニーズや課題に対して、その解決策を価値提供するチームなのか。これによって、配置対象者の発達課題と得意技とのベン図の重なが変わるからです。

この三者の情報を重ね合わせていることは、一見すると論理構成・ロジックの話のように見えます。その要素はある程度にあります。しかしながら、肝心なのは、それぞれのプロファイル情報をどのように再解釈し、さらにその3つをストーリーにつなぎ合わせるか、です。この点が、ロジックだけでは説明しきれないアートな要素です。

最後にその結果、従業員やビジネスはどうなったのか、です。いくらきれいごと正しそうなことを言っても、そこに好影響がなければ机上の空論です。

結果、その異動配置により、ビジネスは自社の新規事業分野を生み、持続的に二桁以上の成長率を残すことにつながりました。そして、従業員の報酬水準も大きく変わり、離職率も半減以下になりました。そして、その成長やエンゲージメントは、今も継続しています。その結果の大きな一要素として、この異動・配置策が寄与したことは、のちに事業責任者たちからもフィードバックを受けることになりました。

この結果として、事業や社員が発展・進化していることを描き切ることもアートとしての要素を含むと考えています。

異動・配置とは、誰にでも説明可能なロジックを持ち、組み合わせを描くアートであり、結果としての成果も描くアートでもある、がわたしの考察です。

さて、みなさんの会社やプロジェクトは、どんな要素を重要視して配置を行ないますか。
それでは、また。

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