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マウスや細胞で良い実験結果が出た!でも人には効かないことがほとんど!?

抗癌剤等の薬の開発プロセスは、主に4段階からなります。
プロセス1から4まで順に効果を確かめ、プロセス4をクリアすると新薬として標準治療で使えるようになります(保険適用されます)。

プロセス1
マウスや細胞で実験します。
がんを抑制する効果があるか、副作用がでないか検証します。

プロセス2
がん患者で試します。(臨床試験フェーズ1)
どのぐらいの投与量なら安全か等を検討します。
ひどい副作用がでたら、試験は中止されます。
試す人数はとても限られているので、効果の判定には使えません。

プロセス3
数十人のがん患者に対して、効果を判定します。(臨床試験フェーズ2)
ただし、人数が少ないので効果の証明としては不十分です。

プロセス4
数百人に対してのがん患者に対して、標準治療薬と比較します。(臨床試験フェーズ3)
標準治療薬の治療を受けるグループと新薬候補の治療を受けるグループに患者をランダム(くじびきのように無作為)に振り分け、治療の効果を比較します。「ランダム化比較試験」といいます。
ランダムに決めることで、なるべく患者の条件をそろえて、新薬の効果を正確に評価できるようにします。
ランダムにしないと、医師が比較的元気な、状態の良い患者を新薬のグループに割り付けてしまい、新薬の効果が高くみえるようになってしまう可能性があります。

では、マウスや細胞(プロセス1)で効果があった新薬候補は、最終的にどのぐらいの割合で新薬として認められる(プロセス4通過)のでしょうか。
その割合は、約3.4%と小さいです。
マウスや細胞でよい結果が得られても、期待しすぎてはいけないことが分かります。

マウスや細胞(プロセス1)で効果があった数を100としたときの、各プロセスでの合格割合を、表で示します。
プロセス2では、100個中、48.3個合格、
プロセス3では、48.3個中、10.3個合格ということを表しています。


参考文献「最高のがん治療」 津川友介、勝俣範之、大須賀覚



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