【エッセイ】連載(グランドテトン編):Eps 1 ”イエス フォーリンラブ”
2024年の元旦に結婚した私たちは、ハネムーンはワイオミング州にあるグランドテトン国立公園にしようと決めていた。
友達のインスタグラムで見た瞬間、あのそびえたつ山々に恋をした。
バービーの「イエス フォーリンラブ」が遠くから聞こえてくる。
まぁ、ついでにイエローストーンにも寄れるしね。と、裏でこそこそ狸と話していたのは置いておこう。
サンディエゴの自宅からグランドテトン国立公園までは、車で約17時間。
私は車の運転ができない。(”狸踊り”の記事でもあるように、車の運転には抵抗がある。https://note.com/rabbitandtanuki/n/n261eecaa9f14?magazine_key=m6c7b8fe814ff)
ということは強制的に17時間もの間、狸が運転しなければならないということになる。
まったく不憫な狸だ。
そんな不憫な狸を考え、途中ユタ州のモーテルで一泊することにした。
次の日、砂漠地帯のユタ州を抜けると、徐々に青々とした木々が目立つようになってきた。
Jackson(ジャクソン)という街を通り抜けて30分程走行すると、ドンっと高くそびえたつ山々が私の視界を支配した。
夏だというのに、頂上周辺にはグレイシャーが見えている。
「いえっす!!!!!」
狸が突然大声をあげた。
その後に「ファーリンラブ」とは言っていなかったが、アメリカ人にもバービーのネタは通ずるのだろう。
私はその風景にただただ圧倒され、口をポカンと開けたアホ面をしていたはずだ。
興奮状態の私たちを待っていたのは、更なる興奮だった。
バイソンの群れが目の前に飛び込んできたのだ。
思わず鼻の穴が広がる。
車を道路わきに止め、双眼鏡でバイソン観察を楽しむ私たち。
子バイソンがママバイソンを追いかけている。
なんて可愛いのだろう。
バイソンを観察することが目的の1つだったので、とても満足感のある時間だった。
その後Colter Bay Campground(コルターベイキャンプ場)に無事に着き、ビールをぐびっと飲みながらテントの設営をした。
それが終わると、キャンプ場に隣接しているJackson Lake(ジャクソン湖)で水浴びタイム。
水温は思ったよりも低く、足を10秒でも入れていたらカチカチになって痺れた。
アホみたいに水中にダイブする狸を横目に、湖から見渡せる山々を眺めながら明日から始まるアドベンチャーに心躍らせていた。