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①マッチングアプリで出会って結婚するまで

私と旦那さんの狸はマッチングアプリで出会った。


その当時、私はニューヨーク、
狸はサンディエゴに住んでいた。


私たちが会話を始めた時、
狸はニューヨークに一時帰郷していた。
彼はニューヨーク生まれニューヨーク育ちなのだ。



まだ出会っていない私たちは、
何も知らずマッチングアプリで
ポチポチと恋活をしていた。


私は一緒にロッククライミングか
ハイキングできる人が良かったので、
プロフィールは読まず写真を見て
右スワイプか左スワイプをしていた。
アウトドア好きなら
プロフィール写真を見ただけで分かるからだ。
何とも偉そうな兎だが、
いちいち全部のプロフィールは見ていられない。



そして狸のプロフィール写真を見た時に、
この人はボルダリングをする人なんだな。
という情報を得た。
そして私の方からスキを送ったのだ。


数時間後に狸とマッチングした。
そしてここから私たちは会話をしていくことになる。


私たちはオンライン上で自己紹介から始まり、
趣味(アウトドア系)や旅行の話、
そして日本のことを話をした。
狸は日本には行ったことはないが、
大学で日本語のクラスを取っていたようだ。


話が盛り上がっていき、
私は彼に好印象を持った。
そして早い段階でお互いの電話番号を交換した。



ウキウキしていた私だが、
何かのタイミングで狸が
「でも明日サンディエゴに帰っちゃうんだよね」
と言い出した。


は?
サンディエゴ?


そう、私は知らなかったのだ。
彼がニューヨークには住んでいないということを…


ガラガラと理想の壁が崩れていった。
ニューヨークとサンディエゴなんて、
アメリカの中でも正反対に位置しているじゃないか。



私は遠距離恋愛を避けるべく、
アプリ内で10マイル以下の
距離設定をしていたので、
てっきり彼がその範囲内に
住んでいるもんだとばかり思っていた。


呆然としていた私は
何をテキストで返したのか覚えていない。
それを察したのか狸は
「これからも連絡取っていこう」と言ってきた。


これで終わりじゃないのか?
彼は何を企んでいるんだ。
まさか特殊な詐欺なのか…



私は狸と連絡を取り合うことを
継続することにした。
これは捜査の一環である。
決してバレてはいけない。
私たちは毎日テキストのやり取りをした。


そんなある日、狸が
「今度フェイスタイムで
オンラインデートをしないか」

と、何とも女子が胸キュンするようなことを提案してきた。


まだ詐欺を疑っていた私だが、
嬉しさもあり彼の提案を承諾した。
おとり捜査という名目でいこう。


いや、待て。
こんなタイプが詐欺られてしまうのだろうか?
というか、彼は既に詐欺っている。
なんせニューヨーク住みのふりをして
サンディエゴに住んでいるのだから。
(狸はただニューヨークに帰郷していただけで、
決して詐欺っていたわけではない)



そしてオンラインデート当日。
私は緊張していた。
そうだった…
私は初対面が苦手な社会不適合者じゃないか…
緊張のせいで太もも裏に汗を感じる。


そして決戦の時がきた。
ここから狸の化けの皮をはいでやる。


そんな私の思いとは裏腹に、
初めて面と向かって話した狸は
フレンドリーで話の運び方も上手で
誰からも好印象を持たれるような人物であった。
私たちは夢中でお互いのことや趣味の話をして、
あっという間に3時間も経っていた。


こうして初めてのオンラインデートは終了した。
私の警戒心はだいぶ解かれたようだ。
まんまと狸の魔の手にかかったのである。


しかしなぜあんな善良そうな狸が、
こんな中年ニート兎に興味を持つのかひっかかていた。
まさかアジア人好きのプレイボーイなのか?



そんなふうに疑い続けながらも、
その後も狸と頻繁にテキストのやりとりや
オンラインデートを重ねた。
その度に新しい彼の一面を見ることができた。
そして気になること(アジア人好きのプレイボーイ説)は、私の思い過ごしであることが分かった。


そんなある日。
狸が突然「彼女になって欲しい」と言ってきた。
お互いに好意は持っていたが、
まさかまだ会ってもない人に告白されるとは。
私もクレイジーだが狸も負けず劣らずだ。
もちろん「イエス」と返した。


マッチングアプリで出会って1ヶ月半で
サンディエゴに遊びに行くことになり、
私たちは無事対面を果たした。
もちろん飛行機代は割り勘だ。



空港に迎えに来た狸は、
とても緊張しているように見えた。
顔がこわばっている。
私も緊張していたが彼ほどではなかった。


そして私たちは彼の車に乗り込んだ。
彼の緊張を解くべく、
私は気を使いながら会話をしていた。


そしてふと彼の横顔を見た時に、
私は気づいてしまったのだ。


彼の鼻毛が伸びていることに…



まずい、笑ってしまう…
鼻毛たちは私に挨拶をしている。
Hello(ハロー)!と。


だが目の前の狸は緊張しているのだから
笑ってはいけない。
初対面なんだから我慢しろ…
失礼になるだろ…!!


彼は何も悪くない。
悪いのはこの鼻毛たち。


そう言い聞かせ私は必至で笑いを堪えた。


次回に続く。
To Be Continue…


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