②マッチングアプリで出会って結婚するまで
私は震えていた。
マッチングアプリで知り合い、
ニューヨークとサンディエゴの遠距離問題を
オンラインデートで乗り越え、
そして今日ようやく初めての対面した狸。
車に乗り込むまでは完璧だったはずだ。
が
問題だったのは
鼻筋が通った鼻穴から覗かせていた
鼻毛たちだった。
ことのあらすじを知りたい方はこちらのエッセイから↓
なぜ私は鼻毛たちの誘惑に
こんなに苦しめられなければならないのだろう。
私はただ緊張している狸を和ませようとしただけなのに…
善意が悪意で返ってきた瞬間だった。
私は狸の顔を直視するの止め、
フロントガラスに目をやった。
そして車内から流れるサンディエゴの風景に
感動しているふりをした。
だが私の頭の中では鼻毛たちの誘惑が続いていた。
何度もかき消そうとしたが無理だ。
その度に吹き出しそうになっている。
吹き出しそうになった時は、
笑顔を作っているように見せた。
努力の甲斐あって狸は気づいていないようだ。
私はのちに”山ウサ子”としてデビューするわけだが、
この時から昭和女優の才能を発揮していたようだ。
昭和女優”山ウサ子”についてのエッセイはこちら↓
15分程走行した場所に狸の家があった。
スタジオタイプのアパートで
一人暮らしには十分な広さだった。
狸はビールとホームメイドのステーキを
用意してくれていた。
その時点で既に
私と鼻毛たちのストーリーは終了していた。
もう鼻毛が見えていても、
それが狸というアニマルなのだと
受け入れることができていた。
私たちは対面を二人でお祝いした。
その後はサンセットが見えるビーチに移動して、
ロマンチックな時を過ごしたり、
家で映画を見たり、
お酒を楽しんだりした。
鼻毛見えてるよというのも伝え、
翌日狸は鼻毛をカットしていた。
ロサンゼルスやサンフランシスコには
仕事や旅行で訪れたことがあった私だが、
サンディエゴは初めてだったので
3泊4日の旅行中にたくさん観光した。
サンディエゴは山も海も近いので、
私たちのようなアウトドアピーポーには
楽しめるエリアである。
それだけでなく街も栄えているので、
生活に困ることはない。
そして1年を通して暑くもなく寒くもない、
とても過ごしやすい天候だ。
私は狸との4日間を大いに楽しんだ。
狸とは楽しめるポイントが似ていたので、
一緒にいて心地が良かった。
狸と初めて会ったように思えなかった。
そんな楽しい4日間は
あっという間に過ぎていった。
そして別れの時がきた。
この4日間楽しすぎたせいで別れは辛かった。
空港で涙を流した。
だがこの涙の別れから1か月後に、
私たちはとある国立公園で
再会するプランを立てていた。
ここから私と狸の
「アメリカ一周、国立公園の旅」
が始まっていくこととなる。
それについては
また別でマガジンを書いていくのでお楽しみに。
そのうちの1つのマガジンがこちら↓
2023年の2月に狸はニューヨークを訪れ、
私のアパートへも遊びに来た。
そしてアップステートニューヨークにある
狸の実家へも一緒に訪れ、
狸ママを紹介された。
その後も3月末には、
また私がサンディエゴに飛んだ。
狸の誕生日のお祝いをした後に、
狸の叔母が住んでいるアリゾナ州へ遊びに行った。
ツーサンやセドナでのハイキングやキャンプを楽しんだ。
ニューヨークとサンディエゴでは
3時間の時差はあったものの、
私たちはフェイスタイム通話を欠かさなかった。
毎日のコミュニケーションをとても大切にした。
こまめに連絡を取り合っていたので、
寂しいとあまり感じなかった。
狸には早い段階で
いつでも一緒に住みたいと伝えられていた。
あとは私がいつニューヨークを離れる決断をするか。
だった。
長年住んだニューヨーク。
夢を持って移り住んだニューヨーク。
辛いことも嬉しいことも
たくさん経験したニューヨーク…
私はここを離れられるのだろうか…?
こちらのエッセイも宜しくお願いします↓