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狸ウイルス

なぜこんなことになってしまったのだろう…


天井を見つめ
意識が混沌とする中
数日前のできごとを回想していた。


私と狸は飛行機でニューヨークに向かっていた。
狸の友達のウエディングパーティーに出席するためだ。
だがそれ以外にも私の友達に会いにいくだとか、
ハリマン・ステート・パークにバックパッキングしに行くだとか、色々と予定は立てていた。


ニューヨークへ向かう一行


ただ少し気にかかっていたことが1つあった。
狸が数日前から咳をしていたのだ。
念のため狸はマスク着用で飛行機に乗り込んだ。


空港に到着すると、
狸ママが車で迎えにきていた。
私は車に乗り込み、
アップステートにある実家へ向かった。


5月に帰ってきたばかりだったので、
義母との再会にはさほどの感動はなかったが、
義母は1人息子の狸に会えるのが嬉しいようだ。
その横で狸は若干鬱陶しいそうにしている。
いつもの光景なので、私も慣れていた。


狸ママに冷たい狸


家に着いてゆっくりしていると狸の容態が悪化。
ぐったりしていたので熱を測らせると微熱があった。
狸には薬を飲ませ休むように促した。


そういえばカリフォルニアで
またコロナが流行ってるだとか
流行ってないだとかいわれていた。
だがこの時期はインフルエンザや
気候の変化で風邪をひくことも多い。


アメリカ人は熱が上がったくらいでは病院には行かない。
市販の薬が強いし医療費が高いため、
よほどのことがない限り家で療養することが多い。


具合の悪い狸を看病する兎


私はベッドルームを狸にゆずり、
初日はリビングルームのソファーで眠ることにした。
何とも寝心地が悪いソファーだと
悪態をついたことは義母には内緒にしておこう。


次の日も狸は具合が悪く、
家でゆっくりすることにした。
狸は少し熱はあるものの、
食欲はあるし元気そうだった。
私は狸の回復に安堵した。


だがある時から私は喉に違和感を覚えた。
気にしないようにしていたが
次の日になると痛みはひどくなり、
更には咳とくしゃみ、鼻水が止まらなくなっていた。
嫌な予感がした。
狸と全く同じ症状なのだ。
そのうちみるみる熱が上がってきた。



そう、私は狸に風邪をうつされたのである。
心配そうにこちらを見つめる狸は、
もう既に回復を遂げピンピンしている。


私は38度の熱にうなされ、
2日間まともに食事もできず、
ただただ眠ることしかできなかった。


私はベッドの上で
狸にしてやられた!と、狸を恨めしく思っていた。
このせいで楽しみにしていた結婚式、
友達に会うこと、バックパッキングの旅が
キャンセルになりかねない。
とにかく週末の結婚式までに熱を下げなければ…



結婚式当日。
無事熱も下がり、
たいぶ体も回復したようだった。
だが私の身体は狸ウイルスに蝕まれたせいでとても弱っていた。


結婚式にも無事出席。
友達にも会えたし、
1泊2日の簡単なバックパッキングにも何とか行けた。



最後が良ければ全て良しである。
だがサンディエゴに戻った今でも、まだ完璧なコンディションを取り戻していない。
狸ウイルスとはコロナウイルスよりも
厄介なウイルスに違いないと思った兎であった🦠



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