ニューアカオを巡ってみた。
はじめに
昨日、滑り込みでStanding Ovation / 四肢の向かう先 を見たので、思ったことを書いてみる。
※アートに詳しくないただの大学院生の感想なので、それを踏まえた上でお読みください。
展示の基本情報
展示の振り返り
ここからは写真とともに展示の内容を記していく。
この展示は、閉館したホテルニューアカオ内に点在する現代美術の作品を巡るものだが、そもそもホテル全体が巨大なインスタレーションになっていて、作品とそうでない部分が常に絡み合っているように見えた。ガイドブックに書かれた指示に沿って進んでいくという形式も、めんどくささ込みでとても楽しかった。
今回見た中で一番お気に入りだったのは、松田将英さんの《Final Answer》だった。
贅沢の限りを尽くしたスイートルーム空間に置かれた(?)謎の作品群。せっかくの空間をごちゃごちゃさせるのも…という気もするが、それこそがこの作品の意図だと感じた。
例えば《#newmoon》は普段見えない新月を表すネオンオブジェクトだが、「閉館するまで気づけなかったニューアカオの魅力」を、新月と重ね合わせているようにも受け取れる。
…これを作った人は色々と話題のアーティストで、賛否両論あると思うが、熱海、ニューアカオという場所の魅力を引き出すのにはピッタリな作品ばかりだったと思う。まあ、ガイドブックには「意味はない」と記されているので、深読みしすぎかもしれない。
厳しい入場制限のおかげでホテル内はとても空いていて、完全に人がいない、がらんとしたような写真を撮ることもできた。Liminal Spaceっぽい。
ホテルの中ではエレベーターで移動することになっていたので、エレベーターホール近くで到着音が絶えず鳴っていたのが少し怖かった。レストランホールでも作品の音が響き続けていて、ずっと"誰か"がいるような気がした。
展示とは関係ない部分だと、裸のマネキンや飲みかけの飲み物、壊れた水道など、いろいろなものがホテルに取り残されていた。
あと、どこから見ても海は綺麗だった。
ずっと展示を回っていく中で、ニューアカオには熱海の持つ美しさと豪華絢爛さ、古臭さが凝縮されていて、少ししんどかった。90代の祖母も「泊まったことあるよ」と言っていたので、そうした長年の人々の思いが詰まった空間だからこそ苦しく感じたのかもしれない。
そして、自分も含めて、映えを求める人々が集う場所と化している現状も切なく感じた(すれ違う人の多数がスマホではないカメラを持っていたような気がする)。もう少しお金が自由に使えるようになったら、好きな物や場所へたくさん行こうと思った。無くなってしまう前に。
おわり
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