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決定版 ランチェスター戦略がマンガで3時間でマスターできる本

ビジネスを成功させる戦略として有名な「ランチェスター戦略」。今回は、2019年に発売された、マンガ風の挿絵を交えてランチェスター戦略を教えてくれる書籍「決定版 ランチェスター戦略がマンガで3時間でマスターできる本」を紹介する。

本書Data

発売日 : 2019/4/6
田岡佳子:ランチェスター協会名誉会長。株式会社ランチェスターシステムズ代表取締役。大阪府生まれ。大谷学園卒業後、日本女子大学文学部通信教育科に学ぶ。昭和59年ランチェスターシステムズの創始者である夫の田岡信夫の死去にともない、経営コンサルティング会社を解散。61年周囲の勧めにより会社を再興。平成7年ランチェスター協会を設立。名誉会長として現在に至る。

推しポイント

こんな方におススメ

ランチェスター戦略は、多くの経営者やビジネスマンが引き合いに出す。研修やセミナーで知ったという方も多いはず。そもそもランチェスター戦略とはどういったものなのか? ビジネスに応用すると、具体的にどのような戦略なのか? なんとなく知っているけど、どんな戦略だったっけ? …と思うことはないだろうか?

わたしは、改めて知っておきたいと思って本書を買った。でも、ランチェスター戦略の書籍は数多く世に出ている。ネットビジネスに応用できそうな時代に書かれた内容のものなんて、無いとあきらめていた。なんと、本書はSEOについて触れていたり、ECサイトのことや、ZOZOが成功しているなんてことも書いてある。だから、ここ数年に書かれたランチェスター戦略の本を読みたい!という人に最もおススメだ。

もちろん、弱者の戦略部分を引き合いに出されることが多いから、スタートアップ起業をする方や、コロナ禍で市場環境が一変した人にも推せる良書と考えた。

ここがおススメ

マンガ風の挿絵を交えてわかりやすく教えてくれる。しかもタイトルに「3時間でマスターできる」と書いてあるとおり、読解がしやすく挿絵も多い。この分厚さの本でも3時間で読むことができる。

そして、原稿が古くない。2019年(令和元年)に刊行され、インターネット時代のランチェスター戦略についても語られている。SEOやコンテンツの質×量についても扱う最新版として読める。昭和や平成に書かれている内容を、脳内で現代に読み替える必要はない。

このランチェスター戦略は、日本で完成された、日本市場向けの戦略。イギリスで生まれた軍事戦略が、アメリカで体系化され、日本で著者の亡き夫・田岡信夫さんが完成させ広めたという。そのため日本特有のエリア営業戦略が具体的に書かれている。

よそ者が成功する北海道、東北地方は日本海側から攻める、流動的な北関東地区、一つの地域と捉えてはいけない東京地区、一筋縄ではいかない東海地方・北陸地方、個性的な地域が集まる関西地方、西側拠点説の例となる中国地方、攻め方に注意すべき四国地方、癖の強い九州地方。
ー 第7章 地域特性の例

しかもジンクスや企業名まで書かれている。カクヤス、ZOZO、でんかのヤマグチ。フォルクスワーゲン、ハーゲンダッツ、ソフトバンク。アシックスがバスケシューズで一点突破した話など。ユニクロのSPAについても触れている。

また、営業戦略だけでなく、経営、マーケティング、販売促進などにも無理なく応用できるとしている。「ランチェスター戦略は競争の科学である」ということが、デジタル時代だからこそ更に有用になっているのだろう。

長く知られるビジネス戦略のため、経営者や管理職が多い40代以上に向けたものと思われがちだ。しかし、本書は若年層にも刺さるように書かれている。情報戦の戦い方、時間の捉え方、ネットビジネスの戦い方。こういったことを科学的、論理的に説いてる。

推す理由

モチベーションのためには精神論ではなく論理的であれというのが本書、ランチェスター戦略の姿勢だ。昭和脳のリーダーから、論理的な理由も語られずに仕事を振られているような若年層に絶対に刺さる。そんな人は、もういないであってほしいけれど。もちろん、そんな昭和脳をアップデートしたい管理職や経営層も、あらためてビジネス戦略というものを整理し、日々のアクションをロジカルにしていける本だと思う。

どんなことが書いてあるのか

そもそもランチェスター戦略とは、第一次世界大戦のころにフレデリック・ウィリアム・ランチェスターが研究した、戦争で勝つための科学。兵数と武器性能をファクターとした、シンプルな法則。ランチェスターの第一法則と第二法則があって、第一法則は弱者の戦い方。第二法則は強者の戦い方。弱者でも勝てる。一転集中で勝負して勝っていく。順番も大事。
ランチェスター戦略でシェアを上げることができる。市場参入は、市場の成長曲線とともに考える。情報戦で勝つための戦略、マーケティングの原点。
ビジネスで勝つための地域戦略。三点攻略法、最初に攻めるところ、2番目に攻めるところ、この2つを線でつないで、3番目に攻めるところに行き、完成した3角形で最後の総仕上げとなる。
地域特性の例。日本全国のエリア特性。2つのジンクス。西側拠点説、北守南進説。
差を付けるための時間管理。営業を仕掛ける時間の分析、得意先の分析、訪問ルートの組み立て。
新規開拓の攻略法。アプローチ先へのタッチポイントを回数や段階で捉える。
営業マンのやる気を高める。数字の割り当てや目標値は論理的に。モチベーションは報酬と、数字以外のファクターも忘れないこと。
インターネット時代のランチェスター戦略。ネットでも弱者の戦い方は同じ。局所戦に持ち込む。デジタルだと強者もきめ細やかなセグメンテーションをしてくる。いかに局所を見出すか。SEO対策も、同じような考え方になっている。地域に特化するなど、工夫をする。Webにおける戦闘力は、コンテンツ量×コンテンツ質。目立つと強者に潰される。目が届かないニッチを伸ばす。

さいごに

ビジネスの方法論は、なんだか怪しいものが多いという印象がある。結局「運」だとか。時代や人によって全然ちがうとか。前提条件が合わないとか。中身がスカスカだとか。そんな中、ランチェスター戦略は本書を読んで、とても信頼できると感じる。シンプルな方法論をベースに、いかに論理的に科学的にビジネスをするかということを説いている。悪い言い方をすれば、目新しさは全くない。
ビジネスを大局的に見る。そのときの理屈の立て方を支援してくれる。根底にある「戦略」と、実際にビジネスに生かすときの具体例で詰まっている本書、推しの一冊だ。


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