これからのマーケターに必要な辞書となる本
みなさん、お疲れ様です。本日は、魅力的な本のエッセンスを抽出してご紹介できればと思います。
トップマーケターにも選出された神田 昌典さんが書かれている本で「マーケティングジャーニー」です。このマーケティングジャーニーとは何かですが、「マーケターの成長の道筋」のことを指しています。様々な企業を作者が観察し、自社の利益しか考えて来なかった企業がマーケティングを学び出すと、顧客満足に真剣に取り組み、社会貢献を志すことが見えてきたそうです。
マーケティングによって、人を成長させるとのこと。そのプロセスは、本書では以下のように論じられています。ピラミッドを見ていただけると、わかるかと思いますが、単なる広告事例ではありません。企業の活動の最適化を本書では紹介しています。
新成長事業を作り上げる過程が幾つも紹介されています。全ては、紹介できないのですが、一部紹介していきたいと思います
稼働率驚異の92%の地方都市のホテル
埼玉県幸手市にある「ホテルグリーンコア」の事例を紹介させてください。稼働率は、驚異の92%となっている。特徴は、ホテルに必要不可欠な大きなベットがないことです。老朽化したホテルをリニューアルしようとしたところ、同じことをしたら競合に価格競争に負けてしまうと思った経営者。
全国のチェーンと戦うために、考えた戦略がベットのない部屋。これにより、「とりあえず寝れればいい」という単身のビジネスパーソン以外の顧客の獲得を実現できたのです。フラットな部屋という特徴より地域の住民が、昼に利用するにようになりました。室内で子供を気兼ねなく遊ばせておけるので、昼間は地域のママ会などにも使われることが増えたからだそうです。
昼と夜の二毛作ができることで高稼働率を実現できるようになったようです。もともと、経営元がダンボール材メーカーなので、設備も簡単に移動できるというのも強みだそうです。
地域に開かれたことで、地方再生の起爆剤としても期待させるようになっていきました。国土交通省のプロジェクトで、茨城県坂東市の市有地を賃借し、ホテルを立てることが認められました。素晴らしい景勝地や史跡があっても、ホテルがなければ誰も来ないから、地域行政側は是が非でもホテルが欲しい。。しかし、坂東市は鉄道が走っていないため、出店を希望する事業者がいないのです。それに対して、グリーンコアは地域住民の需要も取り込めるので、駅がなくても十分に経営が成り立つと判断したそうです。
コマーシャルインサイトを見出したメカ
飲食店向けの食用油のろ過機を製造販売している「メカ」という会社の例も紹介されていました。「メカ」のろ過機を使うと、油の鮮度が保たれるので、揚げ物の美味しさが引き立つ上、油の交換頻度が減ってコスト削減も期待できます。「美味しさ」「コストダウン」という売りを武器に、メカはこの分野のリーディングカンパニーになっていきました。
しかし、開発から20年も経ち、成長は鈍化していました。新しく就任した2代目社長は、ろ過機に代わる新規事業を開発しなければならないと考えていたそうです。しかし、市場は競合が次々と参入し、価格競争を繰り広げていました。戦い方を変更すれば、まだまだ有望であったのです。そこで、開発チームが様々な顧客や関係者にヒアリングしていき、、結果「安全性」というキーワードにたどり着きました。通常、閉店後の深夜に行う油の交換作業は、油が冷めるのを待てないので、熱いうちに交換するケースが多く、交換中にやけどする事故も少なくなかったそうです。それが、嫌でやめていくアルバイトのスタッフも少なくなかったとのこと。
そのような、「痛み」から従業員たちを救ったのが、メカのろ過機だった。これさえあれば。ボタン一つでろ過できるので、従業員を危険に晒すこともなくなります。こういったニーズを背景に「美味しさ」「コストダウン」を前面に押し出すのではなく「安全性」を訴求し始めていきました。爆発的に市場の拡大に成功しました。このように、「専門家である本人自身が「自分が間違っていた」と思わされるような気づきこそが、「コマーシャルインサイト」であり、これを見出すと、事業開発の可能性は大きく広がって行くと紹介されていました。
長々と話ししてきましたが、事業が岐路に立った気にこそマーケターの腕の見せ所なんだなと思いました。危機を機会に変えているこれらの事例を見て本当に勉強になりました。
変わりゆく広告会社に必要なこと
本書を読んで、私がいる広告業界も大きな岐路に立っているんだろうと改めて考えさせられました。もちろん、広告によって企業のコミュニケーションの最適化を実現していかなければなりません。しかし、「必要とされる広告」を実現させるためにも、今までと同様の広告提供だけでは厳しいでしょう。テクノロジーが進化する中でも広告の「最適化」とは一体なんなんでしょう。個人の趣味嗜好にただ合わせていくだけでしょうか。しかし、趣味嗜好って日々変化していくものだと私は思います。昨日まで、アニメ興味なかったのに、いつのまにか鬼滅の刃にハマる人もいるわけですから。その趣味嗜好が日々変わる中で「その人が、その時好きな、コンテンツ」で広告が表示されるなどが実現できれば本当に魅力的だなと思います。鬼滅の刃が好きな時期に、WEB商品・情報検索かけたら鬼滅の刃のバナーがでたり・・・。技術的かつコスト的に厳しいとは思いますが、そんなことできたら広告がもっと面白くなっていくんだろうなと思いました。
本日のnoteはこれにて以上となります。引き続きよろしくお願い申し上げます。
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