「メタ時間」によって得られるものと失われるもの
「時間を忘れる」という言葉がある。時間感覚がわからなくなるほどなにかに没頭することを表す語だが、この背景にある「時間感覚の無効化」という現象は、特に物語創作において極めて重要な意味を持つ。物語を創作する上で、実時間に1:1の時間スケールで進行されることは極めて少ないし、実際にそれを強要されることはない。これを支えているのは、物語進行における内部時制を実際の観劇/読書体験によって得られる体感時間にしてしまう魔法、つまりは時間感覚の無効化である。つまり、「時間を忘れる」ことは没頭