"100"の求人票を分析してわかった|「募集背景」の最適解である"SST"とは
突然ですが、「求人票の"募集背景"の書き方の最適解」はご存知でしょうか?
募集背景を書こう!となった時に、よく「何を、どれくらい書けば良いのか?」悩むという声をよく聞きます。現状のサービスの数字やチームの課題感、今後の事業戦略、ミッション/ビジョンについて・・・など、書こうと思えば書けるけれども、長すぎてしまったり、逆にありのままに書きすぎて、魅力的に感じられない募集背景になってしまったり。など、最適解を掴めていない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回、100以上の求人を分析して、募集背景の最適解がわかったので、ブログを執筆しています。ぜひご覧いただければ幸いです。
では、始めていきましょう🙋♂️
1. 募集背景を分析してわかった衝撃の事実
まず、約100の求人票を分析してわかったことの結論をお伝えしようと思います。なんと、"8割以上"の求人票が似たような募集背景を記載していることがわかったのです。
それがこちら👇
「私の会社はこれを記載している・・・」
「確かに、募集背景はただ人員増加と書いてあるケースが多いな・・・」
と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
率直に申し上げると、この募集背景は非常にもったいないです。なぜなら、求職者様からすると求人票を出している以上、「あ〜、あの会社は業績好調で採用を強化しているんだな」とわかるためです。
求職者様が知りたいのは、より根幹の「なぜその職種の募集を始めたのか」という具体的な募集背景が知りたいのです。
考えてみてください。
「業績好調のための人員増加」と記載されている求人票と、「現状のサービスの数字や課題感、今後の事業戦略」が記載されている求人票、どちらが魅力的に感じるでしょうか。また、どちらの求人票の方が求職者様目線で考えた時、「選考に進みたい!」と思うでしょうか。
多くの人が後者と答えるのではと思います。ただ、求人票を調査する中で、後者の募集背景の記載方法も、いくつかの種類にカテゴライズできることがわかりました。その分類したものを下記に記載していきます。
募集背景の詳細の話に入る前に、まずは、「募集背景はどのように生まれるのか?」や「そもそも募集背景の目的ってなんだっけ?」と言う、募集背景の根本の部分を理解していきましょう。
2. 募集背景の"成り立ち"と"目的"
本項では、募集背景の大枠(成り立ちと目的)について触れます。
2-1. 募集背景の"成り立ち"
まず、募集背景の成り立ちについて、👇 の表をご覧ください。
会社はミッションやビジョンが土台として存在しており、その上に経営戦略→事業戦略→採用戦略と続き、最後に一つひとつの職種の募集背景になります。
ここでは「募集背景はこのような成り立ちでできているのだな」と覚えていただければ幸いです。
2-2. 募集背景の"目的"
皆さん、「募集背景がなぜ必要なのか?」と言う問いにどのような回答をしますか。私は以下、2つの目的があると考えています。
まず、皆さんの経験と照らし合わせていただければと思いますが、求人票を見て、募集職種に意義を感じられたり、ワクワクできることはこれまでどれほどあったでしょうか?あまりなかった、もしくはあったけれども数えられる程度ではないかと思います。
それはなぜでしょうか。
求人票に「WHY」("なぜ"その職種を募集しているか)ではなく、「WHAT」("なに"を行う職種なのか)を記載しているケースがほとんどだからです。人間の性質上、"なに"を行うかより、"なぜ"行うかを知った時の方がモチベーションが湧きやすいのです。よくプレゼンテーションでも、「WHY」から始めた方が、人の感情に響きやすいと聞いたことがある方も多いかと思いますが、それと同じです。
求人票に「WHY」を記載することによって、求人票に意義付けができ、より職種に対してイメージが深まり、結果的にワクワクする求人票を作成することができるという流れと考えています。募集背景の役割を言い換えるなら、「求人票に色をつけること」と言えます。
これらの目的を達成するために、募集背景があることを理解いただければと思います。
3. 募集背景の"分類分け"
ここまで、募集背景の目的など、大枠を記載してきましたが、ここから、本題となる募集背景の分類分けについて記載していきます。
まず、本項の結論から。
今回、募集背景は大きく上記の3つの分類分けをすることにしました。それぞれの詳細は下記にて説明していきます。
なお、3つの分類分けは募集背景を作成する際の一つの軸としてご参照いただき、それぞれの会社の状況に合わせてベストと思う募集背景の使用していただければと思います。
3-1. Scope(範囲)
まずは、Scope(範囲)から。Scopeと記載しておりますが、言い換えるとミッションやビジョンなどのPhilosophyの文脈に近しいです。
Scopeは👇 の項目に分類できます。
例えば、"世界"のトップを目指して事業運営をしている企業様と、"日本"のトップを目指して事業運営をしている企業様があった時に、どちらの方がワクワクしますか?
これは価値観の世界なので、答えは人それぞれ違うと思いますし、違っていいと思います。ただ、「会社がどのような方向性を目指すのか」これは皆さん共通して知りたいことです。そのためここで伝えたいことは、自分が在籍している企業が何を目指しているのかを明確にして、募集背景に記載することの重要性です。
ミッションやビジョンは数多ある企業の中で、その企業のアイデンティティになることが多いです。つまり、その企業だけに興味や関心を持っていただきやすくなる一つの要素になるので、何を目指しているのかを明確にして募集背景等の求人票に記載することをおすすめします。
3-2. Strategy(戦略)
続いて、Strategy(戦略)について。
2-1の「募集背景の成り立ち」でも紹介しましたが、Strategyは👇 の項目に分類できます。
3-1でミッションやビジョンの記載は、募集背景等の求人票のどこかに記載した方が良いという話をしました。ただ、大きなことを掲げていても、それがどのように実現できるのかわからなければ、求職者様からみてワクワクするビジョンとは言い難いです。求人票にワクワクしていただくためには、"具体性"が欠かせません。
そのため、ミッションやビジョンを成し遂げる上での、経営戦略→事業戦略を記載する必要が出てきます。大項目4にて、事例を出して紹介しますので詳細はそちらでご覧ください。
3-3. Time(時間軸)
最後に、Time(時間軸)です。
Timeは👇 に分類できます。とてもシンプルです。
Timeを記載した方が良い理由も、ScopeやStrategyと近しく、求職者様によりイメージをしていただくためです。
何回も出てきますが、「業績好調のための人員増加」という募集背景ではイメージができません。"過去"どのようなことを行い、"現在"はどのようなフェーズなのか、そして、"未来"ではどのようなことを考えているのかを記載することで、ようやくイメージをすることができます。
このように書いてみると、当たり前じゃんと思うことなのですが、実際に募集背景にここまで記載されているケースはとても少ないです。
募集背景を作成するコツの一つは、求職者様視点で求人票を見た時に、明瞭にイメージができるかどうかということを覚えていただければと思います。
4. 募集背景の"4ステップ"
ここからは当社ポテンシャライトのHRインキュベート事業部(採用コンサルティング事業)を例に、募集背景を4つのステップに分けて記載していきます。
それがこちら👇
下記にて、ステップごとに詳細を説明していきます。
※今回、上記で紹介した項目(Scope/Strategy/Time、以下SST)軸で4つのステップに分けております。尺度(世界→日本→会社→チーム)の話は入っておりませんので、ご認識いただけたらと思います。
ステップ0:"SST"なし
以下で解説します。
こちらはよくある募集背景を記載しました。これが"ステップ0"としています。ここからSSTを踏まえてどのように変化していくのかをご覧いただけたらと思います。
ステップ1:"Scope"のみ
続いて、ステップ1です。
※太字がScopeに該当する部分です。
以下で解説します。
Scopeのみを記載している募集背景をステップ1にしました。Scopeを記載することで、少し求人票における解像度は上がったのではないのでしょうか。
ただ、実際に働く上での解像度はステップ0と同じくそこまで変化していません。そのため、こちらのステップ1では"物足りない募集背景"と言えます。
ステップ2:"Scope×Strategy"のみ
続いて、ステップ2です。
※太字がScopeとStrategyに該当する部分です。
以下で解説します。
"Scope"(世界No.1のHRノウハウ開発企業)と"Strategy"(経営戦略~事業戦略)の要素を取り入れることで、だいぶ解像度が上がり、魅力的な求人票になってきました。
また、大項目2で説明した募集背景の目的である求人票に"意義付け"をする、求人票に"ワクワク"してもらうという目的も、達成されています。
ステップ2の募集背景を作成できるだけでも、求職者様から見え方は今までと全く異なり、その企業への関心は格段に高まります。そのため採用活動において、このステップ2のレベルを最低限のラインとして作成していただければと思います。
ステップ3:"SST"全て内包
最後に、ステップ3です。
Scope、Strategyに加え、Timeの観点を追加し、"SST"全てを内包した募集背景になります。
※太字がTimeに該当する部分です。
以下で解説します。
"Scope"(世界No.1のHRノウハウ開発企業)と"Strategy"(経営戦略〜事業戦略)に加え、ステップ2では抜けていた"Time"(過去〜現在〜未来)を追加することで、より具体性が増し求職者様にとってイメージしやすい募集背景になりました。
ミッション/ビジョンや、経営戦略〜事業戦略を記載するだけでも、格段に求人票の質は上がりますが、これまでどれくらいのノウハウを公開してきて、現在、何名で月何本を公開していて、未来は月何本公開するという過去〜現在〜未来の付け加えることで、募集背景に深みを感じていただけるのではと思います。ここまで記載できると、ベストというのが本ブログでの結論になります。
5. 募集背景の"番外編"
ここまでポテンシャライトを例に出して、募集背景の事例を見てきましたが、他の企業様で魅力的と感じる募集背景を紹介します。
それが、当社がご支援させていただいている企業様でもある東急株式会社様です。2021年7月に東急株式会社から発表された「URBAN HACKS」というプロジェクトがあるのですが、その求人の募集背景はとても魅力的だなと感じています。
それがこちら👇
いかがでしょうか。
プロジェクトの概要説明→現状の課題→事業戦略→プロジェクトへの想い
→クロージング(求職者様へのメッセージ)という流れで、とてもわかりやすく、イメージがしやすいストーリーになっています。
特に、東急様のような今までリアルビジネスを中心に事業を展開されてこられている企業様がただ「デジタル変革をしていくプロジェクトを立ち上げます!」だと、なかなかイメージが湧きません。その中で、現在の事業アセットや具体的な事業戦略を募集背景に組み込むことは求職者様の興味・関心を引くものだったと思います。(そして、結果的に1年で約30名の採用に成功しています。)
また、募集背景としてはやや長いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、募集背景の目的は、求人票に意義付けをすること、ワクワクしてもらうことを考えると、このくらいの長さでも、全く問題ないと思います。
6. 最後に
ここまで、募集背景の最適解について説明してきました。
改めてポイントをまとめると・・・
募集背景の"目的"は2つ存在する。
募集背景の"分類"は3つに分類される。
募集背景の"ステップ"は大きく4つに分類される。
募集背景の大枠から詳細まで理解して、自社にとって最適な募集背景を作成いただけたら嬉しく思います。そして、募集背景には、「SST」(Scope / Strategy / Time)を入れるということを覚えていただければと幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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