SABON アドベントカレンダー2023と転売について考えたこと
SABONって化粧品のブランドがあるんですよ。別に詳しいわけじゃないんんですが、ただ、ちょっとした縁で「ネットに詳しいんだろ?ちょっと予約してくれよ」と依頼を受けて色々と調べていたんですが、その過程で「ちょっとこれどうなの?」って思うことがあったので記録を残しておきます。
どういう商品なのか?
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具体的にはこんなやつです。手に塗る油とか、いい匂いのする界面活性剤とかが入っていて、それをクリスマスが近づく度に毎日開けて楽しむという商品ですね。約二万円はお高いですが、Nintendo Switchとかに比べれば安いですし、クリスマスギフトとして購入する需要もあるようです。
今年は、11/2から公式サイトで予約開始、11/16から数量限定で発売される……そうなんですが、ところが、Googleで「サボン アドベントカレンダー」で検索すると、こんなページが出てくるのです。

なんと、28750円で販売してくる会社が出てくるんですね。しかも楽天市場。公式サイトでは19800円なのに……どういうこっちゃ??
失礼ですが……転売では?
上記ページを開くと以下のような表示が出てきます。

どう見ても同じ商品のようですが、fasion-pressの記事によると、19800円の品が、28750円で売られています。一万円近く価格が上乗せされています。
会社名はASマート、会社概要を見ても、どうも個人で運営されているようで、SABON公式には思えません。
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勘違いでしたら悪いので慎重な言い方をさせていただきますが、これって俗に言う転売、それも無在庫転売という手法ではないのでしょうか?
つまり、発売前の商品に対して、予約を受けておいて、発売されると何らかの手段で購入して発送する。手に入らなかった場合は返金する。ノーリスクで転売できるという手法です。
なお、上記ページを見ますと、現時点(2023/10/31)で在庫なし、で注文できなくなっていますので、無在庫転売ではなく、ちゃんと手元に商品を用意してからの転売をするつもりで作ったページが予定より早く公開されてしまっただけなのかもしれません。そっちのほうが在庫のリスクを抱えているので良心的といえばそうですが。まあ、良心的云々言うなら転売すんなって話でもありますが。
なお、上記の内容ですが、確証はありません。単なる値段入力ミスの可能性もあります。担当者の方、「誤解だ!違うんだ!説明させてくれ!」というのでしたら、ぜひご連絡頂きたいと思います。謝罪すると同時に、ここで紹介させてください。
法的な問題は?
誤解しないで頂きたいのですが、転売は嫌われているとは言え、法的には問題ないケースがほとんどです。
調べた所、SABONのアドベントカレンダーシリーズは、以前からネットに中古が供給されているようです。
例えば、クリスマスギフトで貰ったけど、もう別の使ってるんだよね……。というケースとか、注文した方が入院してそれどころではなくなったとか、悲しい話ですが、注文した人に不幸があって、遺族の方が出品するというケースもあるわけですから、ネットで売ること自体には問題は無いんですよね。
だから上記の会社も法律に違反しているわけでもなんでもありません。なので、石を投げるのは間違っています。権利は守られなければなりません。ただ、楽天を経由すると、約一万円高くなる。というのは端的に中抜きだと思いますし、お客の無知につけ込んでいるわけですから、私個人としては全く褒められる行為ではないと思います。
私がネットで予約する相談を受けたのも、実は「調べると沢山出てきたけど、どれを買えばいいの?」ということが原因なわけで、転売だらけの今のインターネットは、素人には厳しい世界になってしまったのかもしれません。
こんな事態を招いたのは……SABON JAPANなのでは?
ということで、「いや~世の中エグい会社があるもんだな~」と思いながら見ていたんですが、一つ気になることがあるんですよね。
それはSABON社のページに一切情報がないこと。
転売の肩を持つわけではないんですけれど、あまりにも会社が出すべき情報が少なすぎて、こういう状況になったのは、全てSABON JAPAN社の怠慢ではないのだろうか?という顔になってしまいました。
何しろ、アドベントカレンダーの公式ページがないんです。会社HPに飛んでも、アドベントカレンダーの情報が得られず、ニュースサイトの記事しか参考にできないのはまともな判断とは思えません。
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これ、公式サイトのトップページなんですけど、お、なんか色使いが似てるな。これか?と思う画像をクリックしても、アドベントカレンダーの情報がどこにも出てきません。担当者が入れ忘れました?
ニュースサイトには発表したことが書かれているんですが、予約が2日後に迫っているのに、公式から情報が何も出てこない。もしかしたらあるのかもしれませんがトップページから検索できない。注文もできない。
そして、Googleから出てくるのは楽天市場の商品販売ページのみ。となると、そちらで買う人がでるのは当たり前なんじゃないでしょうか。
そして、何も知らない客は一万円上乗せされて購入するわけです。これは顧客の損失になっているわけですよね。
全く無関係の立場から好き勝手言うのは品が悪いとは思いますが、もし、社内に問題意識を持っている方がいて、「ネットでこんなこと
書かれてましたよ!改善しないんですか?」と上司や同僚を説得できる材料になる可能性も踏まえて、ここに書かせてください。
もしかすると、メーカーとしては、転売対策にそれほど乗り気ではないのかもしれません。「仮に転売だとしても、在庫を減らしてくれるし別にいいじゃん」そうお考えかもしれません。でも考えてみてください。それは顧客のためになっているのでしょうか? 御社の商品が好きで買ってくれる顧客に、余計な出費を強いているわけですよね。
顧客が中抜された一万円は、もしかしたら御社の商品に将来的に使って貰えるお金だったのかもしれません。ブランドとは、体験も含めてブランディングしなければならない。という話があります。上乗せされたお金で、別の業者から購入した顧客は、果たして御社のブランドのファンになってくれるでしょうか?
まず、公式サイトにしっかり情報を乗せるべきです。そして、できれば発表と同時に予約を開始するべきです。それを怠っている現状では、御社は自らのブランドを毀損しつづけています。
新宿伊勢丹にポップアップショップを展開する予算の一部でも良いので、web担当者と一度ちゃんと話をした方が良いのではないでしょうか。
最後に、企業が転売対策としてできること
転売行為に関しては様々な意見があります。私としては経済は自由なので、ある程度は仕方がない行為だ(というか取り締まれない)と考えているわけですが、なんとなく、企業側の怠慢なのでは?と思うケースはあるんですよね。
正直な所、メーカーとしては転売は別に困ることじゃないんですよ。在庫のリスクを転売業者が肩代わりしてくれるわけですから。でも、それって顧客を舐めた行為であり、ブランドを毀損している行為ですよね。
だから私は、メーカー側からも転売対策に乗り出す必要があるんじゃないかと思うんですよ。具体的には以下のように。
情報は必ず公式サイトにまとめる
公式サイトと誤解させるようなサイトを作らせないためには、まず公式サイトに情報がしっかり乗っていることが大切です。発表した内容はすべて乗せましょう。外部サイトの方が詳しいことにならないように。
発表と予約はできるだけ同時にする
例えば、9月に情報公開して、11/2 予約開始!と銘打ったとします。このタイムラグ、必要ですか?いや、なにか会社の中での手続きに時間がかかっているかもしれませんが、予約注文の場合、予約を先に受けておくことはなにも問題ないですよね。限定〇〇個!という類の商品でしたら特に。
工場の稼働の問題で、お客様に約束ができない。出来ると言ったことができないようでは信用に関わる。という事情があるのかもしれませんが、それでしたら、目処が立ってから情報公開したほうが良いのではないでしょうか。
ブランドの化け物であるAppleは、大々的な発表の次の瞬間から予約可能だったりしますよね。そういう顧客体験を考えるのがブランド戦略ってもんじゃないでしょうか。
販売制限をつける
限定商品の場合だと、転売のインセンティブが生まれます。どれくらい売れるのかにもよりますが、争奪戦が予想される場合、お一人様一個という制限は必須だと思います。
もし通販サイトのような販売チャネルを持っているのでしたら、もう少し踏み込んだ売り方ができます。過去に化粧品を定期的に購入してくれているなどの情報を見れば、いわゆる優良顧客が解ります。
優良顧客には優先的に販売すれば、顧客の体験を高めることが出来ます。メールアドレスを知っているのでしたら、「新商品はいかがですか?」のメールを出しても良いですね。
もちろん、これで転売が消滅するかというと違うでしょう。お一人様一個だとしても、限定品となればより高値で売ることができるわけですから。でも、問題にならない数ぐらいには減るはず。
長々と書いてしまいましたが、これからのブランディング戦略には、転売対策も必須ではないのかと思った次第でございます。
なにかの参考になれば幸いです。