初めましてを書き忘れていたことに気付いたので、初めましてを書きます
初めまして
11年前に夫が交通事故により高次脳機能障害になりました。文章を書くのは苦手で文才もありませんが、心の中の気持ちや日々の出来事を書いてみようかなと思います。私の書いた文章で高次脳機能障害の理解が少しでも深まってくれたいいなぁという淡い期待をこめて・・・みなさんどうぞよろしくお願いいたします。
高次脳機能障害は損傷した部位により症状が全く違うと皆さん言われます。「10人いたら10人みんな違います。」と参加した講演会でも家族の会でもそう仰います。だから、書いていることは私と夫のことです。高次脳機能障害になったら皆さん全員がそうではないということを前提として読んでいただければ幸いです。
夫からするとどうか分かりませんが、こんなことを書いても良いのかどうかも分かりませんが、私の視点から書かせてもらえるとすれば、顔も声も同じなのに夫は以前の夫と中身が全く違う人になりました。人格が変わってしまいました。
本当に現実の世界で自分の身にこんなことが起きるなんて思ってもみませんでしたが、本当に起こりました。夢であって欲しいと何度も思いましたが夢ではありませんでした。
ドラマでは結末はハッピーエンドですが、現実の世界はハッピーエンドにもなりません。「24時間の愛は地球を救う」の番組のドラマのようにも綺麗なお話になんてひとつもありません。頑張っても、頑張っても報われるどころかこんなに痛めつけられることがあるのかと、そんなことの連続です。相手が悪いとかではなくて、この障害って本当に理解してもらうのが難しい障害なんだなって何度も感じました。神様って本当にいないんだなって、どん底まで突き落とされる日々です。これでもか、これでもかと叩きつけられる日々です。
心の中で、何度も「ばかやろぉー!なんでみんな助けてくれないんだよー。」「何でみんな分かってくれなんだよーー!!!」と何度も叫びました。一人で何度も泣きました。障害がわからなかった時は夫と二人で、障害がわかってからは一人で何度も死のうとも思いました。でもできませんでした。娘たちのことや、夫が一人では娘たちのことをできないので、娘たちが小学校を卒業するまでは、中学生になるまでは、高校生になるまでは、成人するまでは、ちょっと先の目標を自分で立てて頑張っています。
今まで生きてきて、こんなに人のことを憎いだとか思ったことも感じたこともなかったのですが、人ってこんなに人のことを憎く思えるんだってことも知りました。でも、こんな事になって初めて気づきました。夫と過ごしていた時はこんな気持ちになる事を経験したことがなかったってことに。私は夫に守られていたって事に。
脳を損傷する前は「感謝してる。」とよく夫には言っていましたが「口だけだろ。」といつも笑って言われていました。今となっては遅いのでしょうが、本当に感謝が足りてなかったなって気づきました。「ごめんね。」って言ってももう届かないけど、ごめんねって思いました。
今まで守ってくれていたから今度は私が頑張るねって、そう思って頑張ったのですが、頑張っても、頑張っても、夫には通じなくて、逆に夫から暴言を吐かれたり・・・。私たちを守ってくれていた夫から暴言を吐かれて攻撃されるなんて思ってもみませんでした。初めは本当に信じられませんでした。夫が私に向かってこんなことを言うなんてって、とても、とても、信じられませんでした。
昔の夫に会いたい。夢の中で会う夫は昔の夫で、だからもうこのまま目覚めなければいいのにと思う。このまま目覚めずに昔の夫とずっと一緒に入れてばいいのに。私がいない現実の世界で、私の責任を誰かに背負ってもらえることができたらどんなに楽になれるのかなってそう思うけれど、それでも朝が来て、現実はそこにあって。やるしかないんだよねって自分を鼓舞する日々です。
本当に辛いから夫に対するこの気持ちをどこかにしまえればいいのにと思います。しまえないのなら、この気持ちが薄まって、薄まって、なくなってしまえば何とも思わずに夫から離れられるのにって、そしたら楽にもなれるのになってそんなふうに思う時もあるけれど、人の気持ちってそんなに簡単にはなくなったりしないものですね。
今の夫が嫌いになれたらどんなに楽かなってそう思ったりもします。でも、そうは言っても、今の夫の中に昔と変わらない夫も混在していて・・・。そういう夫を見ると、あ、もしかしたら前の夫に戻って来てくれているのかなと期待してしまうのです。でもそれはまたすぐに裏切られるのですけれども。
脳を損傷したせいで性格が変わってしまっても、それだけで直ぐに嫌になったり、嫌にになったり、そんな風になれないのです。だって、以前と変わらぬ姿で夫は生きているのですから・・・。もしかしたらって思ってしまうし、もしかしなくても共に生きたいってそんな風に思ってしまうわけなんです。
何だか書いていたら切なくなってきたので初めましてはこれまでにします。全然、初めましての自己紹介の文ではありませんがそこはお許し下さい。